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小さな恋心 ki ページ49








「友達?」

「はい……」


下手な嘘だとは思ったけれど、それに関
して何か訊かれる事はなかった。



「ヒヨリは妊娠していたそうです。自ら
命を絶ったと聞きました」

「そうか……」



そうかって……

苛立ちが込み上げ、咄嗟にそれを鎮めよ
うと手を握り締めた。鼓動が徐々に大き
くなり、胸がチリチリと焼かれるように
痛む。



「何も感じませんか?」

「いや、気の毒だとは思うよ」

「それだけですか?」

「それだけ?」

「ヒヨリに……何をしたんです?」

「意味がわからないけど?」


黒川さんの表情が変わった。





ヒヨリは、黒川さんが好きだったんだ。


幼い頃に両親を亡くした彼女にとって、
彼は甘えられる父親のような存在だって
言っていた。

ヒヨリはとても可愛くて、黒川さんも特
に気に入っていたんだと思う。ご飯に連
れて行ってくれたのって嬉しそうに教え
てくれたっけ。

俺には何でも話してくれたから、そんな
彼女を心配しながらもずっと見守ってい
た。

そのうちに、時々二人で会うようになり
それがいつしか愛情に変わったんだと思
う。

“私、絶対に辞めない!”

ウリなんて辞めるように何度も言ったけ
れど、それでもそれを辞めなかったのは

Aを想う気持ちはもちろんだけれど
黒川さんが好きだったからというのも大
きいと思う。


ウリは犯罪だ。好きな女に強要するなん
てありえない。金で繋がっている関係に
過ぎないじゃないか。

そこに愛があるとは思えなかった。

それは罪で結ばれた絆であり、歪んだ愛
情ではあったけれど、まだ高校生だった
彼女にとって、彼の役に立っているとい
う想い……

それだけが心の拠り所だったのかもしれ
ない。




時が経つにつれて、徐々に元気がなくな
っていったヒヨリ。まさか妊娠していた
とは気づけなくて。

そんな彼女の異変に気づいた玉が、いつ
も彼女を笑わせてさ、また可愛い笑顔が
戻りつつあった。


それなのにっ……
黒川さんは落ち着かないのか、骨ばった
指をポキポキと鳴らし始めた。

この指で、Aにどんな風に触れたの
かと思うと、ぎゅーっと心臓が締め付け
られるほどに苦しかった。

両手を握りしめ、黒川さんを見据える。
手汗が酷い。

正直怖かった。彼を怒らせることがとて
も怖い。けれど言わないといけない事が
ある――――どうしてもだ。




「黒川さん、ヒヨリのお腹の子の父親は
あなたじゃないですか?」



心臓が早鐘を打ち出した。





確信 ki ※※※→←対峙 ki



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設定タグ:北山宏光 , 玉森裕太 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:恋愛
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裕太 - このみこ (2021年2月25日 9時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、こんにちは。こんなダークな話まで読んでくださり嬉しすぎます。これからミツの過去も分かってきますので楽しんでいただけると幸いです! (2020年6月28日 11時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - こんばんは。こちらも読ませて頂いてます。別世界過ぎて主人公を自分に置き換えて読むのは難しいですが、玉ちゃんが好きだと思ってたので、黒川さんだとわかり、面白い展開にゾクゾクしてます。キスマイとか関係なく凄く楽しく小説を読ませてもらってます。 (2020年6月27日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ミーさん» ミーさぁん(o^-^)ほんと、悲しい展開で……(T‐T)分かります、そこ!嫌な予感しかなかったですよね、わーん!ごめんなさいっ!そして迷いながらも読み続けてくださり嬉しいです。早く沼から出られるように更新していきますので、お付き合い下さると嬉しいです!(>_<。) (2019年2月24日 17時) (レス) id: 3e6044568e (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - きたみなさん» きたみなさん、こんにちは(o^-^)このようなダークな話にも関わらず、そんな風に言ってくださってとても嬉しいです!これからも心情と情景の描写を丁寧に書いていきたいと思いますので、上手くはありませんが、楽しんで頂けるように頑張りますね!(´>///<`) (2019年2月24日 17時) (レス) id: 3e6044568e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:siori | 作成日時:2018年12月11日 12時

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