罪で結ぶ絆 3

会いたくて ki ページ4

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ホテルを出てから終電がないことに気づ
き、大通りでタクシーを拾った。

ブルーやゴールドに輝く街が流れていく
車窓。この時間になるとさすがに人は疎
らで、それが街を更に幻想的に見せてい
た。


疲れたな……もう一時か。
玲さんは待っていてくれるだろうか？


今から帰るとLINEを入れ、シートにも
たれて目を閉じた。






*






「お客さん、着きましたよ」


運転手の低い声で目が覚めた。外に出る
と冷たい外気で一気に目が冴える。




俺の部屋の窓からは、暖かい明かりが漏
れていた。

起きて待っていてくれたんだ……





かじかむ指で鍵穴に鍵を差し込めば、ガ
チャリとドアは向こうから開いた。


「ひろ、お帰りなさい」

「ただいま……」

「寒かったでしょ？早く入って」



俺を見てにっこり笑った玲さんを前に、
俺はアホみたいに突っ立ったまま。玲さ
んは、そんな俺を不思議そうに見ていた
けれど「ひろ？」と俺の名前を呼んだ。


目の前に立つエプロン姿の彼女があまり
にも新鮮で、胸がどきどきする。

女と寝ることに何の感情も湧かない俺が
彼女のエプロン姿を見ただけでどきどき
しているなんてどうかしている――――






「手が冷たい！」


玲さんが俺の手を掴んだから、そのまま
その手をグイッと引っ張り、衝動的に腕
の中に抱き締めてしまった。

彼女の柔らかくて温かい身体は、俺の中
にすっぽりと収まり、俺の首元に顔を埋
めてくる。



「何か……あったの？」

「何もないよ、玲さんにすげー会いたか
ったから……居てくれてほっとしちゃっ
たっていうか……」



コートの胸元をぎゅっと握りしめ、囁く
ように玲さんは言った。



「良かった……」

「え？」





「あの……凄く会いたいのは私だけじゃ
なかったんだなぁって……」





そう言いながら、俺を見上げた彼女の瞳
にはうっすらと涙の膜が張っていて、あ
まりの愛おしさにそのまま唇にキスを落
とした。


ドッ、ドッ、と早くなる鼓動。


ついさっきまで、他の女を抱いていた手
で触れてごめん……

切なくて、切なくて、切なくて……

俺の身体は一体どうした？胸が締め付け
られるように苦しくて、上手く呼吸がで
きない。

「ハァ、ハァ……」

喘ぐように、彼女の唇を奪った。








「玲さんっ……俺に何したんだよ……」

「ひろ？」





「苦しいんだよ……ここが……」





唇を軽く触れ合わせたまま、玲さんの小
さい手を取り、俺の胸に当てた。









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