罪で結ぶ絆 3

梅雨が来て ki ページ27

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晴れの日に気分が上がる人がいる一方、
雨の日は何となく憂鬱に感じたり、俺の
場合は背中の古傷が痛んだり。

身体は気候の影響も知らず知らずに受け
ているんだと思う。


ったく誰だよ、ねみぃ



“ひろ……”


あれ？
玲さんの声がする？


夢なのか分からないまま目を開けると、
目の前に玲さんが立っていた。




「会いたくて来ちゃった」


来ちゃったって……可愛すぎるだろ。


「連絡くれれば良かったのに」

「電話したよ？でも出ないから」

「あーマジ？ごめん……爆睡してたわ」



寝ぼけ眼の俺に彼女はくすりと笑い、屈
んで俺の唇にチュッと可愛いキスを落と
した。

梅雨時の、まるで磨り硝子のような半透
明な午後。玲さんの周りだけ春みたいだ
と思う。暖かくて優しくて……


「ひろは疲れてるんだよ」

「じゃあ、今から玲さんが癒してよ」

「えー、どうしよっかなぁ」


くすくす笑いながら、俺の髪を優しく撫
でる手が心地良い。






「ひろ……」


俺を甘く呼び、つぅーとそのまま頬に触
れた指に、心を直接触れられたように切
なかった。

もっと近くに感じたくて、彼女の温もり
を抱き締めたくて、腕を引っ張りベッド
の中に引きずり込む。


「後、三十分だけ寝たい……」


温かくて柔らかい身体からは、いつも良
い匂いがする。その甘やかな首筋に顔を
埋め、彼女の匂いを吸い込んだ。



「ふふ、私も寝ちゃいそう」

「じゃあ、眠れなくしてやろうか？」





「ばか……」



玲さんの腕が俺の背中に回り、優しく抱
き寄せられる。背中を優しく撫でる掌を
感じながら、いつの間にかまた眠りに落
ちていた。








次に目覚めた時、玲さんは俺の腕の中で
静かな寝息を立てていた。




銀座の店舗は、工務店の不手際で工期が
かなり遅れた為、当初予定していた日に
開店できなくなってしまった。

やはり新しい店を立ち上げるのは大変で
新店舗に連れて行くスタッフの教育や、
その他にもやらなければならないことが
山積みで、俺の身体は既に悲鳴を上げて
いたんだ。



ルキアには一応毎晩出勤していたが、黒
川さんが俺の客に上手く話をしてくれて
彼らは他の男娼を指名するようになって
いた。

そして玉が傷つけたあの客は、少し前ま
でしつこく俺を誘ってきたが、最近はめ
っきり来なくなった……






後一年…………か。


腕の中の、可愛い寝顔を見つめる。




玲さん。

俺、頑張るからね。待っててよ……







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