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嫉妬 ki ページ21








「あれ?玲さん、もう帰るんですか?」


廉の声に振り向くと、玲さんがバッグを
持って立ち上がるところだった。


「うん、またね廉くん」

「玲さん、また来てくださいね」

「ありがとう、ごちそうさま」



玲さんと目が合い、切なげに揺れる眸が
俺を捉えた。




「玲さん、またお待ちしてます」

「はい」


黒川さんが彼女をエスコートして、ドア
のところでコートを着させてあげていた。

そんな黒川さんを見上げて微笑む玲さん
はとても魅力的で、彼女を好きになって
しまうのも仕方がないのだ思う。

玉だって……

俺に会いに来てくれたのに、俺の恋人な
のに。彼女が途轍もなく遠く感じた。




* * *




平日は明け方近くまで営業しているルキ
アだが、週末は午後十一時がラストオー
ダーだった。

終電に飛び乗り用賀駅に着いた時、既に
深夜一時を過ぎていた。

澄み切った夜空には北斗七星が見える。
明日は晴れるかな……

まだ冷たい夜気を吸い込み、急ぎ足で家
に向かった。









家に帰ると、玲さんはソファに凭れて眠
っていた。


室内は暖かく、アロマの良い香りが漂っ
ている。俺が疲れているだろうからと、
リラックスできるようにいつも気を遣っ
てくれるんだ。

ベッドからブランケットを持ってきて、
そっと彼女の上に掛けてやる。

長い睫毛とふっくらとした唇。透き通る
ような肌。赤ちゃんみたいじゃん。

すっぴんの彼女はどこかあどけなくて、
その無防備な寝顔をずっと見つめていた
い……なんて、いつも思う。





「玲さん……愛してるよ」


近づいて柔らかい髪を梳き囁けば、彼女
はゆっくりと目を開けた。



「ごめん、起こしちゃったな」

「ううん……いつの間にか寝てたみたい」


そう言い、眠いのか目を擦る。


「うん」

「……ひろ、怒ってる?」

「何で?怒ってなんかいないよ」

「本当に?」


「ああ……でも今日、黒川さんと何して
たんだよ?」


見つめあってたじゃん。


「あれは……あの、トイレから出てきた
ら黒川さんがいて……話しかけられただ
けだよ」



そうだよな……

わかっているんだよ。
彼女は何も悪くないってことくらい。

それに、他の女を抱いていた俺が、彼女
に何か言える立場じゃないだろ。例えそ
れが仕事だとしても……



「ちょっと妬けちゃったわ」

「何で?私はひろだけなのに……」



玲さんは起き上がると、俺の首に抱きつ
いてきた。彼女の吐息が耳にかかる。






激情 ki ★→←縺れた糸 ki



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設定タグ:北山宏光 , 玉森裕太 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:恋愛
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裕太 - このみこ (2021年2月25日 9時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、こんにちは。こんなダークな話まで読んでくださり嬉しすぎます。これからミツの過去も分かってきますので楽しんでいただけると幸いです! (2020年6月28日 11時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - こんばんは。こちらも読ませて頂いてます。別世界過ぎて主人公を自分に置き換えて読むのは難しいですが、玉ちゃんが好きだと思ってたので、黒川さんだとわかり、面白い展開にゾクゾクしてます。キスマイとか関係なく凄く楽しく小説を読ませてもらってます。 (2020年6月27日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ミーさん» ミーさぁん(o^-^)ほんと、悲しい展開で……(T‐T)分かります、そこ!嫌な予感しかなかったですよね、わーん!ごめんなさいっ!そして迷いながらも読み続けてくださり嬉しいです。早く沼から出られるように更新していきますので、お付き合い下さると嬉しいです!(>_<。) (2019年2月24日 17時) (レス) id: 3e6044568e (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - きたみなさん» きたみなさん、こんにちは(o^-^)このようなダークな話にも関わらず、そんな風に言ってくださってとても嬉しいです!これからも心情と情景の描写を丁寧に書いていきたいと思いますので、上手くはありませんが、楽しんで頂けるように頑張りますね!(´>///<`) (2019年2月24日 17時) (レス) id: 3e6044568e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:siori | 作成日時:2018年12月11日 12時

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