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早春 ki ページ17










白梅のその凛とした姿とともに、寒さが
が和らいでいくのを肌で感じることがで
きる季節となった。

今日は朝から冷たい雨が降っていて、少
し盛りを過ぎた白梅が雨に濡れ、泣いて
いるように見える。

いつの間にか雨はやんだようで、外に出
ると、少し日足が伸びた夕空は深い紫陽
花色に染まっていた。






あれから俺達は穏やかな時間を過ごして
いたけれど、変わったことが一つ。

一時来ることはなくなっていたが、最近
また、玲さんがルキアに来るようになっ
た。週末を一緒に過ごし、俺が店に出勤
する頃に玲さんもまたやって来る。


彼女は長い時間一緒に居たいからと言う
けれど、やっぱり複雑な気持ちだ。彼女
が店に来た時、俺が地下で客の相手をし
なければならないこともあるだろう。

理解しているとはいうものの、そういう
時はどんな気持ちがするのか?と心配に
もなる。

それに店には、玉以外に俺達が付き合っ
ていることを知っている人間はいなかっ
た。

まあ、別に隠さなくてもいいのかもしれ
ないが、黒川さんに知られるのはやっぱ
りまずいと思っていた。

客に手を出して、ボーイズクラブを解約
させたようなもんでしょ俺。

けれど、店に来るなと言うのも違う気が
して、結局そのままにしていた。








「ミツさん、最近オーナーと玲さんいい
雰囲気じゃないですか?」


開店前のカウンター。何も知らない廉が
アイスピックで氷を丸くカットしながら
話しかけてくる。

思いがけない言葉に、思わず廉の顔を凝
視した。


「え……そう?」

「ミツさんが接客中だった時かなあ?こ
の前も、ずっと玲さんの隣から離れない
し、親密そうに話してましたよ。絶対玲
さんに気がありますって!」


ニヤリとする廉。


「廉、口ばっか動かさないで手を動かせ
よ。ここはもういいから厨房の中手伝っ
てきて」


そんな廉を睨みつけると、すかさず玉が
口を開いた。


「えー、何でですか!?玉さーん俺ちゃ
んとカットしてますわ」


廉が不満そうに口を尖らせながら、丸氷
を玉に見せている。


「いいから行けや」

「わーかりましたって!」


廉は、何でやぁ〜とブツブツ言いながら
行ってしまった。






「ミツ、そんなことないからさ。気にし
ない方がいいよ」


ダウンライトが、心配そうな玉の顔に柔
らかい影を落としている。


「いや、大丈夫だって」


言われてみれば……

黒川さんは、週末になると店に来ること
が増えたような気がした。





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設定タグ:北山宏光 , 玉森裕太 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:恋愛
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裕太 - このみこ (2021年2月25日 9時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、こんにちは。こんなダークな話まで読んでくださり嬉しすぎます。これからミツの過去も分かってきますので楽しんでいただけると幸いです! (2020年6月28日 11時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - こんばんは。こちらも読ませて頂いてます。別世界過ぎて主人公を自分に置き換えて読むのは難しいですが、玉ちゃんが好きだと思ってたので、黒川さんだとわかり、面白い展開にゾクゾクしてます。キスマイとか関係なく凄く楽しく小説を読ませてもらってます。 (2020年6月27日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ミーさん» ミーさぁん(o^-^)ほんと、悲しい展開で……(T‐T)分かります、そこ!嫌な予感しかなかったですよね、わーん!ごめんなさいっ!そして迷いながらも読み続けてくださり嬉しいです。早く沼から出られるように更新していきますので、お付き合い下さると嬉しいです!(>_<。) (2019年2月24日 17時) (レス) id: 3e6044568e (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - きたみなさん» きたみなさん、こんにちは(o^-^)このようなダークな話にも関わらず、そんな風に言ってくださってとても嬉しいです!これからも心情と情景の描写を丁寧に書いていきたいと思いますので、上手くはありませんが、楽しんで頂けるように頑張りますね!(´>///<`) (2019年2月24日 17時) (レス) id: 3e6044568e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:siori | 作成日時:2018年12月11日 12時

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