ポインセチアの窓辺 3 -I treasure you-

46.揺れ動く心１ ページ46

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次の週末、私はあの公園に行ってみることにした。


この公園は都心なのに緑豊かで、気持ちが良くて大好きだった。
ベルに会いたかったのもあるけれど、土曜日にここにくるのがもう私の生活の一部になっていたし、ベルを通してちびを感じたかった。


いつもの時間に公園に行くと、ベルと藤ヶ谷さんがじゃれ合っている。




「こんにちは」
「佐藤さん、来てくれたんだ」




藤ヶ谷さんはモノトーンのチェックのシャツに、濃紺のデニムが良く似合っていてかっこいい。
ミナちゃんから太ちゃんって呼ばれていたことを思い出し、つい可笑しくなってしまう。
クールな印象なのに、なんて可愛い呼び名だろう。




「たいちゃん」
「えっ？」




藤ヶ谷さんは、私を見ると真っ赤になってしまった。




「あ、すみません、この前ミナちゃんにそう呼ばれてましたよね？」
「その呼び方、結構恥ずかしいんだよね」




彼は照れ臭そうに笑った。









「佐藤さん、今日って時間ある？」
「ありますけど？」
「俺の友達の店にこれから行くけど一緒にどう？ほら、前にあげたクッキーの」
「あっ！あのクッキーの？行きたいです」
「じゃあ行こうか。ここから３つ目の駅なんだ。一度家に帰ってゲージ持ってくるから一緒に来てもらえる？」
「はい」




それから２人で藤ヶ谷さんのマンションに向かった。
けれどその途中で、一番会いたくなかった人に遭遇してしまうなんて……私は本当についてない。
これで二度目か。
道の向こうから結さんが歩いてきた。




「Aさん、こんにちは！もしかしてデートですかぁ？」




にこやかに話しかけてくる。




「いえ、デートじゃないですよ。俺たちつきあってないですから」
「あら、そうなんですか？じゃあ……またねAさん」
　



勘のいい藤ヶ谷さんは何か察したみたいで後ろに私を隠してくれた。
結さんが面白いものを見たという顔をして行ってしまうと「大丈夫？」と訊いてきた。


さ心臓が暴れ、今にも飛び出しそうだった……
思わず胸を押える。




「あの人、どこかで見たことあると思ったらカフェに居た人だよね？」
「はい……」




藤ヶ谷さんはそれ以上、何も訊いてはこなかった。
私は無意識に藤ヶ谷さんの手を掴んでいたらしい。そのまま彼は黙って私の手を握ってくれていた。




「あっ！ごめんなさいっ……つい……」
「大丈夫？」
「……はい」




慌てて藤ヶ谷さんの手を離した。







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