39.偽りの感情2 ページ39
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本当はキーホルダーのついた鍵のこともきちんと話したかったし、結さんと本当に何もなかったのかも知りたかった。
みっくんと別れてほしいって言われた事だって……本当は聞いてほしかった。
あげたらきりがない……
知りたいし、訊きたい事ばかり。
結さんのことが不安で堪らなかったけれど、そればかりに囚われていたら本当に愛想をつかされる。
自分が心の狭いつまらない女になってしまった気がして、救われない感情に支配されていた。
心の奥底で、結さんなんて死んじゃえばいいのになんてことすら考えてしまう自分。
私って本当は最低な人間なんだ。
こんな私を、みっくんには絶対に知られたくなかった。
「何で?俺のこと、信じてくれたってこと?」
「うん」
私の顔に貼りついた笑顔の仮面……
ひきつっていない?笑えている?
みっくんは、納得がいかないという顔で私を見つめた。彼に心の中を見透かされそうで、私は慌てて目を逸らした。
「……そっか。A、ここおいで」
みっくんが自分の膝の上をポンポンと叩いた。椅子から立ち上がりみっくんの横に立つと、手を引かれ、自分の膝の上に座らせて後ろから優しくハグしてくれた。
「A、無理してない?」
大好きな、低くて優しい声が耳元で聞こえる。
「大丈夫だよ」
「よし!じゃあ、楽しいこと考えよーぜ」
みっくんは、目尻に小さい皺を寄せた。
「キャンプの日程考えないといけないなぁ。休み、また会社に訊いてみて?今度行くキャンプ場の周辺にも遊べるところ沢山あってさ、ちょっと待って、いま本を持ってくるから」
けれど、彼の話が頭に入ってこなかった。
「A?」
「えっ?」
「……どうした?今週は休みなしでしょ?疲れてんじゃない?泊まる用意してきただろ?」
「うん……」
「もう寝る?風呂は?」
「私、みっくん待ってる時にシャワーしたから」
「じゃあ俺もシャワーだけしてくるわ。ベッド行ってていいよ」
そう言い、みっくんはバスルームに行ってしまった。
ちびは緩く尻尾を振ると、ソファに横になった。私を見つめる目が優しい。
「おやすみ、ちび」
私はベッドに横になって、目を瞑った。
暫く眠れないでいると、石鹸の香りとともにみっくんがベッドに入ってきた。そっと私の横に滑り込み無言で後ろから抱き寄せられる。
月のない静かな夜だった。
時計の音とともに、彼の安らかな寝息が聞こえていた。
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siori(プロフ) - 美月さん» 美月さん、初めまして!何回も読み返して下さっているなんて感激ですっ(涙)ポインセチアは私の初作品なのですが、文章が酷くちょっと手直ししています。終わったものから必ず外しますので少々お待ちくださいっ。外したらお知らせがいくようにしておきますね! (2021年2月12日 9時) (レス) id: dd09f4ba27 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 初めまして。sioriさんの作品の大ファンです!!何度も読み返してキュンキュンしています(^^)中でもポインセチアの窓辺は、大好きな作品です!!パスが外れるのを楽しみにお待ちしております!! (2021年2月11日 8時) (レス) id: 0eb5a1c4e3 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ななさん» ななさーん、そんなに読んでくださっているなんてっ(;´∀`)ありがとうございますっ。感激……ポインセチア5も、なるべく早くパスを外せるようにしますね!ありがとうございました(*^-^*) (2017年1月28日 8時) (レス) id: 6dbbe70c0b (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 先程、白万重の想い出を読み終え、あとはポインセチアの窓辺でsioriさんのお話制覇…読破?!と思っていたところで新作もありますし、続きを読めるのはもっとずっと先だと思っていたのですごく嬉しいです。じっくり読ませていただきます。ありがとうございました (2017年1月28日 0時) (レス) id: f978e26386 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ななさん» ななさん、(*'ω'*)コメントありがとうございます!そしてお待たせいたしました。先ほどパスを外しました。5は、今編集中ですので、少々お待ちください。初の作品なので、文章がめちゃくちゃでお恥ずかしいですが、楽しんでいただけたら幸いです(*^-^*) (2017年1月26日 15時) (レス) id: 6dbbe70c0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2016年1月22日 17時