ポインセチアの窓辺 3 -I treasure you-

32.回想２　- 結 - ページ32

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私は毎日、北山さんに会うためにカフェに通った。今日はランチタイムが終わり、店が空く時間帯をねらって店に入った。





“ こんにちはっ！ ”
“ あ、結さん…… ”




北山さんの具合が本調子でないことは、この前から気づいていたけれど、今日の北山さんはさらに苦しそうな表情をしていた。




“ 大丈夫ですか？凄く顔色が悪いですよ ”
“ そう？なんか俺やばいかも。お客さんも途切れたし、せっかく来てくれたけど店閉めるから。ごめんね ”
“ 北山さん、私、手伝います！ ”
“ あー、マジで？だけど大丈夫だよ ”




距離を置かれている気がする。
北山さんは食器を片づけていたけれど、暫くするとソファに横になってしまった。




“ あー、ダメだ、辛すぎるっー ”
“ 北山さん、私それやりますから寝ててください ”




“ 結さんごめん……助かるよ。ありがとね ”
“ いいえ…… ”




発熱の時特有の、どこかぼんやりと潤んだ視線で見つめられ頬がカァッと熱くなる。
一通り洗い物が終わり、北山さんに声をかけた。




“ 終わりました。あの……Aさんに来てもらわないんですか？ ”
“ Aは、今日まで研修旅行で、帰り遅いと思う ”
“ えっ？そうなんですか？ ”




Aさんが研修旅行？
じゃあ、それまで家で１人なんだ……




“ 結さんありがとう、もう帰っていいから ”
“ でも……北山さんは、どうするんですか？ ”
“ 俺はどうにでもなるよ。店に泊まってもいいし ”
“ そんなことしたら、悪化します！私が運転するんで送ります！この間迷惑かけちゃったお詫びにやらせてください。このままじゃ、私の気が済まなくて辛いんです……」




こんなチャンスはこれからないかもしれない。私は必死でお願いした。
北山さんは黙って私を見ていたけど、余程具合が悪いんだろう“ じゃあ、お願いしていい？助かるよありがと ”
と、力なく微笑み、またソファに寄りかかった。









ハンドルを握りながら、助手席で寝ている彼の顔を盗み見た。




“ ふふっ、かわいい寝顔 ”




思わず、声に出てしまう。
しばらくすると、マップが案内してくれた場所に着いた。




“ 北山さん、着きましたよ ”
“ あ……あり……がと、もうここで……大丈夫…… ”




北山さんの身体がぶるぶる震えている。
悪寒がするのかな？




“ 部屋まで送らせてください！ ”




車から降り、私は北山さんを支えながら部屋に向かった。







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