ポインセチアの窓辺 3 -I treasure you-

11.頼りになる友人 ページ11

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あの場にいるのが辛すぎて、咄嗟にみっくんのマンションから飛び出してしまったけれど、お財布も定期も家の鍵も全部みっくんの部屋に置いたままだった。


どうしよう……
スウェットのポケットに手を入れるとスマホの感触。
あ……持ってて良かった。
画面にはみっくんから１０件以上の着信と、１件のラインが入っている。
今戻ってもまた酷く責めてしまいそうで、みっくんに会いたくなかった。


京子……


遅くに申し訳ないと思ったけれど、私は京子に電話をかけた。



「もしもーし」
「京子？」
「A、どうした？」
「お願い、駅まで迎えに来てほしいの。今日泊めてもらえる？」
「……いいよ。どこの駅？改札口で待ってて。車で行くから２０分くらいで着くと思う」



一瞬の間があった後、彼女は何も訊かずにそう言ってくれた。



「京子……」
「うん？」
「ごめんね、ありがとう……」
「A、こんな時は頼っていいから」
「うん」









＞今どこ？すごく心配してる。戻ってきて



彼からのラインをじっと見つめる。
みっくんきっと探してる……



＞今日は京子の家に泊めてもらいます。明日、荷物取りに行くね



それだけ返信すると電源を切った。
どうしてあんなこと言っちゃったんだろう……
結さんと二人で会うことも、言いにくかっただろうけれど正直に話してくれたのに。
昨日だって突然の事で、みっくんの力じゃどうにもならなかったんだよね。


みっくんの事だから、錯乱状態になった時、結さんを抱きしめて落ち着かせてあげたんだと思った。
その後も、朝まで寄りそってあげていたに違いない。
そんな2人が頭に浮かんで胸が苦しい。

私は結さんの悲しみよりも、ヤキモチばかりでみっくんを責めちゃった。
面倒くさい女だって、みっくんもきっと呆れてる……
愛想つかされても仕方がないのかもしれない。
お店も行かないなんて言っちゃったし。









1人悶々と考えていると、一台の赤い車が駅前のロータリーで止まった。



「A！」



京子が窓から手を振った。



「京子……」



京子の顔を見るなりほっとして、私はその場に座り込んでしまった。



「ちょっと! A、大丈夫？」



彼女は慌てた様子で駆け寄って来ると、私を立たせて車まで連れて行ってくれた。



「びっくりしたよ……今日はうちに泊まりな」



そう言い、心配そうに眉尻を下げて私の肩をポンと叩いた。






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