ポインセチアの窓辺 3 -I treasure you-

2.立ち聞き ページ2

・







連休最後の今日は意外と空いていた。
ランチの時間もそれほど混まなくて、いつものゆったりした時間が流れている感じ。

結さんはさっきから元気がなくて、何かを思い詰めているような表情が気になる。
今日でお店の手伝いが終わるからなの？
そんな彼女が気になったけれど、私は気分転換にちびと散歩に出かけることにした。



「じゃあ、みっくん行ってくるね」
「よろしくねー」
「行こう、ちび」



ちびのリードを引っ張ると、ちびは私にぴったりくっついて元気に歩きだす。




今日も晴天で公園の新緑が清々しく揺れている。ドッグランに行くと珍しく藤ヶ谷さんが先に来ていた。

　

「藤ヶ谷さん、こんにちは！」
「こんにちは」



ちびとベルは、まるで兄弟のようにじゃれあいだした。



「連休終わっちゃいましたね」
「そうだね」
「明日から仕事だー」
「ははっ、憂鬱？」
「憂鬱じゃないんですか？」
「俺は男だからね、そろそろ休みはいいかなー仕事モードにならないと」



藤ヶ谷さんて、仕事ができそう。
スーツもすごい似合いそうだし……思わずじーっと見つめてしまう。



「何？なんか顔についてる？」
「あ、ごめんなさい、何でもないです」



照れ笑いをした藤ヶ谷さんにドキッとしてしまった。結構ギャップがある人なのかも……





しばらく遊ばせた後、今日は早めに帰ることにした。やっぱり2人が気になって仕方がない。

裏口から店に戻ると、ちびの部屋から声が聞こえてきた。あれは……結さんの声？




「北山さん、今度話を聞いてもらいたいことがあって……」
「店じゃ話せないこと？何か相談とか？」
「ええまあ……あの……ゆっくり話を聞いてもらいたいんです」
「んー、遅くなってもよければ、閉店後なら誰もいないけど」



えっ……？



「それでもいいです……」



嫌だよっ！



「じゃあ、結さんの都合のいい日に来て。俺は毎日いるからさ。店が閉まってたら裏口から入ってきてくれていいよ。」
「でもAさんが……」
「Aは閉店までいない事が多いから」



いるよ！これからは毎日閉店までいるっ！



「はい。ありがとうございます」



どうしよう、心臓がバクバクする。
もしかして……ついにみっくんに告白とか？
だって二人きりで何を話すの？
大した話ではないのかもしれないけれど、気になって仕方がない。






「ただいまぁ」



私は今帰ってきたように装い、話は聞かなかったふりをした。







・

3.落ち込む気持ち→←1.遠慮するなよ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す