Birthday１１ ページ47
．
フキちゃんは、そんなミツをじっと睨
んでいたけれど、やっと笑顔になるとプ
レゼントを持ち、ミツのところにやって
きた。
「おっ、サンキュ！”お手伝い券”？サザ
○さんのカツ○的な？じゃあさっそく
使いますよ、マッサージしてよ」
ミツがフキちゃんに、”マッサージ券”
を差し出した。フキちゃんはそれをじっ
と見てから私を見ると、何かをノートに
書き始めた。
”もったいなくないの？”
「いや、今すぐ使うわ。それから今日帰
る前に、これとこれもお願い。な？」
ミツは、”お風呂掃除券”と”おそうじ券”
を二枚重ねてフキちゃんへ渡した。
”つかうの？”
「は？プレゼントだろ？！」
”もったいなくて、つかえないよね？”
「いや、使えっけど？」
”もったいなくて、つかえねーだろ”
「……使うっつってんじゃん！」
どうしよう、二人の会話が面白すぎる。
フキちゃんは、ミツをうつ伏せにする
と、ニヤリと笑って彼の背中や腰の上を
歩き始めた。
「おまえねー、マッサージが雑すぎんだ
よっ、あー、でもフキの体重が丁度い
いかも〜めっちゃ気持ちい！ケツの上
もお願い」
ミツはそう言いながらわざとお尻を揺
すり、バランスを崩した彼女は、声こそ
上げなかったが、楽しそうに大きい口を
開けて笑っていた。
「そろそろお昼にしようか？昨日、フキ
ちゃんと一緒に作ったんだよ」
”あたしがはこぶね”
「じゃあ、お願いできる？」
フキちゃんは２キロもあるローストビ
ーフに、３１歳のキャンドルを刺すと、
重そうに持ち上げミツの前に置いた。
ミツは目を見開くと「めっちゃうまそ
う」そう言って、勢いよく火を吹き消し
てから、柔らかく笑った。
そんな彼を見ていると、昨日のことが
夢の中の出来事のようにさえ思える。い
っそ夢ならいいのに……
ローストビーフは失敗だった。火が通
りすぎていて、いまいちな焼け具合だっ
た。
だけどミツは、美味しい美味しいって
たくさん食べてくれたんだ。口いっぱい
に頬ばって、美味しそうに笑うミツに、
胸がいっぱいになっちゃって
それはいつもと同じ、何ということも
ない日常だったけれど、こんなに幸せに
感じたことはない。
ねぇミツ……
私たち、またこんな時間を過ごすこと
ができるよね？
心に広がる、不安という名の黒い染み。
強くなる雨音……。
近くで、雷鳴が一つ轟いた。
.
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siori(プロフ) - Mielさん» Mielさーん、こんにちは！そうですね、今ちょうど辛いんですっ(T_T)フキちゃんほんと可愛いですよね、私の癒しです！移行しましたので、どうぞ♪ (2017年10月1日 15時) (
レス) id: a482fb1278 (このIDを非表示/違反報告)
Miel(プロフ) - sioriさんこんにちは。やっと読めました。最後のほうはちょっとツラくて泣きました。フキちゃん可愛いな。いろんなこと考えてるんだなって…。みんなが幸せになれるといいな…。続きも楽しみにしています。 (2017年10月1日 12時) (レス) id: 5ce7b7cc41 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みっくん大好きえみこさん» 今ちょうど見てて(笑)私もできれば優しくしたかったので、おっしゃってくださり助かりましたぁ！えみこさんありがとうございますっ(^▽^;)ミツに浮気させちゃってごめんなさいっ(;^ω^)いつも辛い話を最後までありがとうございます！頑張りますね！ (2017年9月29日 19時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
みっくん大好きえみこ(プロフ) - sioriさん、今 読みました。ミツの電話、少し優しくしてくれたんですね、ありがとうございます。少し気持ちが救われました。でも、なんか…申し訳なかったですね(^^; (2017年9月29日 19時) (レス) id: d81176af93 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みんさん» みんさーん、ありがたいことですぅ〜！楽しみにしてくださってとてもうれしい！拙いながらも頑張らせていただきますね！(*´▽｀*) (2017年9月29日 18時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2017年9月6日 14時
