Birthday１０ ページ46
・
眠れるわけがなかった。
いつまでも目が冴え、考えるのはミツ
のことばかり。
クルクルと変わる表情や、体温の高い
ミツの身体を思い出し、私は自分の身体
を抱きしめた。
彼が恋しくて、恋しくて、ただ嗚咽が
込み上げる。
ミツ……
何でこんなことに？
深夜から降り出した雨。
闇が裂け、閃光が光ると、遠くで小さ
い雷鳴が轟き――
フキちゃんが一つ、寝返りをうった。
＊
次の日、私は激しい雨音で目が覚めた。
暗澹とした雲が空にべったりと張り付い
ている。
お昼頃、ミツがうちにやってきた。彼
は、玄関を開けてフキちゃんを見るなり
驚いた顔をした。
「えっ？なっ、なっ、何でフキがいんだ
よ！」
そんなミツの反応を見て、フキちゃん
は、それはうれしそうに目をキラキラさ
せている。
彼は、キョロキョロと私の部屋を見回
しながら入ってくると
「うっわー！すげぇじゃん、えっ？俺、
昨日誕生日だったんだっけ？わっ、忘
れてたっ、めっちゃうれしいんすけど
ありがとねーフキぃ！それにおまえに
会えてめっちゃうれしい！」
嫌がるフキちゃんを捕まえて、ほっぺ
とほっぺをスリスリした。
ミツの芝居が、ど下手過ぎる……。
ホント、不器用だね。これじゃ、嘘も
上手につけないはずだよ……。
”ミツのバカ”
フキちゃんは、ミツの顔が描かれたバ
ルーンをブチッて取ると、小さい手でバ
ルーンにパンチをし始めた。
「いてっ！んだよ、いきなりっ」
パンっ
「いててっ」
パンパンっ
「うっ、やられたっ！」
バチンっ！
「もう死んだわ、俺……」
フキちゃんは、最後にえんぴつを刺し
てバルーンを割ると、ミツが床に寝ころ
んで動かなくなったところを、上から跨
り股間に思いっきりパンチした。
うわっ、痛そうっ
「……っく」
よほど痛いんだろう、ミツは顔を歪め
股間を押えて丸まってしまった。
「フキぃ〜、ここは鍛えられねぇ場所だ
から、パンチしちゃいけねーって、い
っつも言ってんだろぉ〜、マジいてー
から！」
”たんじょうび、すぎちゃったよ！バカ
ミツ”
「だから、ごめんって」
ミツは、目にいっぱい涙を溜めて、自
分を睨みつけているフキちゃんを抱き上
げると、おでことおでこをくっつけた。
「フキ、ごめんな。でも、俺のためにこ
んなんしてくれて、すげーうれしいよ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1526人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
siori(プロフ) - Mielさん» Mielさーん、こんにちは！そうですね、今ちょうど辛いんですっ(T_T)フキちゃんほんと可愛いですよね、私の癒しです！移行しましたので、どうぞ♪ (2017年10月1日 15時) (
レス) id: a482fb1278 (このIDを非表示/違反報告)
Miel(プロフ) - sioriさんこんにちは。やっと読めました。最後のほうはちょっとツラくて泣きました。フキちゃん可愛いな。いろんなこと考えてるんだなって…。みんなが幸せになれるといいな…。続きも楽しみにしています。 (2017年10月1日 12時) (レス) id: 5ce7b7cc41 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みっくん大好きえみこさん» 今ちょうど見てて(笑)私もできれば優しくしたかったので、おっしゃってくださり助かりましたぁ！えみこさんありがとうございますっ(^▽^;)ミツに浮気させちゃってごめんなさいっ(;^ω^)いつも辛い話を最後までありがとうございます！頑張りますね！ (2017年9月29日 19時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
みっくん大好きえみこ(プロフ) - sioriさん、今 読みました。ミツの電話、少し優しくしてくれたんですね、ありがとうございます。少し気持ちが救われました。でも、なんか…申し訳なかったですね(^^; (2017年9月29日 19時) (レス) id: d81176af93 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みんさん» みんさーん、ありがたいことですぅ〜！楽しみにしてくださってとてもうれしい！拙いながらも頑張らせていただきますね！(*´▽｀*) (2017年9月29日 18時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：siori
| 作成日時：2017年9月6日 14時
