落下する夕陽 ki ページ4
．
どのくらい海にいたんだろう？
「ミツ！見てっ、綺麗な夕焼け！」
Aが俺のところにやってきた。
空が燃えている……
落ちる夕陽はなぜ大きく見えるのか？
まるで線香花火のように、まぁるく揺
らめく橙は、茜色の光を放ち、海の中へ
と落ちようとしていた。
これほどまでに美しい夕陽を、未だか
つて俺は見たことがない。
俺を見上げるAの笑顔も、茜色に染
まっていた。この時ほど、彼女を美しい
と思ったことはないかもしれない。
空は紫がかり、そこには淵が桃色に染
まった灰色の雲が、散りばめられるよう
に浮かんでいる。
その時、そっとAの手が俺の手に重
なり、俺は彼女の手に指を絡めた。
無言で寄り添い見つめていると、空を
染める紫と橙のグラデーションは、ゆっ
くりと色を変え……
空は――
怖いほど美しい桃色に染まった。
ただしそれは一瞬だけのこと。夕焼け
はすぐに薄れ、空気はやがて紫に変わる。
遠くに見える水平線。
空と海とを別けるように、橙の絵の具
が一筋、その境目に滲んだ。
フキが、小さいカニを掌に乗せ、俺た
ちのところに見せにきた。
「お、捕まえられたじゃん」
”おなかすいた”
「夕飯、ここの近くの食堂で食べない？
私、海鮮丼食べたい！」
フキは、逃がしてくるねというような
ジェスチャーをして、岩場の方へと駆け
ていった。
「ミツ……」
「ん？」
「大好きだよ」
Aは、背伸びをすると、はにかみ
ながら俺の唇にキスをくれた。
＊ ＊ ＊
あの夏の輝き。
あの日見た、茜色に染まるAの笑顔。
今も鮮烈に覚えているよ
なぜ人は
失ってから気づくのか……？
どれだけ大切だったか
愛していたかを
もしも
もしも失う前に気づく事ができていたら
俺たちは、今も笑いあえていただろうか？
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1526人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
siori(プロフ) - Mielさん» Mielさーん、こんにちは！そうですね、今ちょうど辛いんですっ(T_T)フキちゃんほんと可愛いですよね、私の癒しです！移行しましたので、どうぞ♪ (2017年10月1日 15時) (
レス) id: a482fb1278 (このIDを非表示/違反報告)
Miel(プロフ) - sioriさんこんにちは。やっと読めました。最後のほうはちょっとツラくて泣きました。フキちゃん可愛いな。いろんなこと考えてるんだなって…。みんなが幸せになれるといいな…。続きも楽しみにしています。 (2017年10月1日 12時) (レス) id: 5ce7b7cc41 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みっくん大好きえみこさん» 今ちょうど見てて(笑)私もできれば優しくしたかったので、おっしゃってくださり助かりましたぁ！えみこさんありがとうございますっ(^▽^;)ミツに浮気させちゃってごめんなさいっ(;^ω^)いつも辛い話を最後までありがとうございます！頑張りますね！ (2017年9月29日 19時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
みっくん大好きえみこ(プロフ) - sioriさん、今 読みました。ミツの電話、少し優しくしてくれたんですね、ありがとうございます。少し気持ちが救われました。でも、なんか…申し訳なかったですね(^^; (2017年9月29日 19時) (レス) id: d81176af93 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みんさん» みんさーん、ありがたいことですぅ〜！楽しみにしてくださってとてもうれしい！拙いながらも頑張らせていただきますね！(*´▽｀*) (2017年9月29日 18時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：siori
| 作成日時：2017年9月6日 14時
