眠れない夜 ページ13
．
部屋を片付け、二人でまったりテレビ
を見ていると、あっという間に２３時を
過ぎてしまった。お昼寝したせいか宵っ
張りのフキちゃんだけれど、来週の月曜
日からは学校が始まる。
「もう寝ようか？」
”まだねない”
「眠くないの？」
”ねたくない”
フキちゃんは、下唇を噛みしめ泣きそ
うな顔をしている。
「えっ？やだ、どうしたの？」
声をかけると、私の服をギュと掴み、
私の胸に顔を埋めて動かなくなってしま
った。
フキちゃん……
「寂しい？」
「……」
「またすぐに会えるよ、ほら、ミツの誕
生日」
フキちゃんは顔をゆっくりと上げて私
を見つめた。その澄んだ眸からは涙が溢
れ、彼女のほっぺを濡らしていた。
「ミツを驚かせるんでしょ？」
そっと涙を拭えば、彼女は泣き笑いの
ような顔をして小さくうなずいた。
＊ ＊ ＊
今日はエアコンを入れずども、開けて
ある窓から滑り込む涼しい夜風が気持ち
よく、聞こえてくる虫の音も趣があった。
あれから間もなく、ベッドに入ったフ
キちゃんに絵本を読み聞かせていると、
割とすぐに寝てしまった。
可愛い寝顔に思わず見入る。
ソファに横になってみたけれど、茉莉
ちゃんから聞かされた、美咲ちゃんのこ
とが気になりすぎて眠れそうになかった。
私はミツが帰るまで、仕事をして待っ
ていることにした。
この前書き上げた黒木さんの原稿は、
編集者だけではなくご本人もとても気
に入ってくれて、即オーケーが出た。
また次回もお願いしますと言われ、思
わず小さくガッツポーズをしたっけ。
あの湘南でのスローな生活……
美味しい野菜と音楽。
本当に楽しい取材だった。
”こぼれ話は必ず拾え。後はあまり気負
いすぎんな、インタビューを楽しめよ
その場の楽しさは、最終的に記事にな
った時に読者に伝わるからな”
太輔がくれた言葉が甦る。彼は今、ど
うしているだろう……ふと、太輔のこと
が頭をよぎった。
”焼肉道”は、ニカちゃんで事足り、今
太輔が出てくることはなくなっていた。
その時、ガチャリと鍵を開ける音が聞
こえた。
ミツ！？
急いで玄関まで出ていきドアを開ける
と、驚いた顔のミツが立っていた。
「起きてたんだ……遅くなってごめん。
今日は片付けに時間がかかって――
「ミツ…っ」
私は、ミツの胸に抱きついた。
．
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siori(プロフ) - Mielさん» Mielさーん、こんにちは！そうですね、今ちょうど辛いんですっ(T_T)フキちゃんほんと可愛いですよね、私の癒しです！移行しましたので、どうぞ♪ (2017年10月1日 15時) (
レス) id: a482fb1278 (このIDを非表示/違反報告)
Miel(プロフ) - sioriさんこんにちは。やっと読めました。最後のほうはちょっとツラくて泣きました。フキちゃん可愛いな。いろんなこと考えてるんだなって…。みんなが幸せになれるといいな…。続きも楽しみにしています。 (2017年10月1日 12時) (レス) id: 5ce7b7cc41 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みっくん大好きえみこさん» 今ちょうど見てて(笑)私もできれば優しくしたかったので、おっしゃってくださり助かりましたぁ！えみこさんありがとうございますっ(^▽^;)ミツに浮気させちゃってごめんなさいっ(;^ω^)いつも辛い話を最後までありがとうございます！頑張りますね！ (2017年9月29日 19時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
みっくん大好きえみこ(プロフ) - sioriさん、今 読みました。ミツの電話、少し優しくしてくれたんですね、ありがとうございます。少し気持ちが救われました。でも、なんか…申し訳なかったですね(^^; (2017年9月29日 19時) (レス) id: d81176af93 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みんさん» みんさーん、ありがたいことですぅ〜！楽しみにしてくださってとてもうれしい！拙いながらも頑張らせていただきますね！(*´▽｀*) (2017年9月29日 18時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2017年9月6日 14時
