Birthday4 ki ページ40
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やっぱり連絡ねーか。
俺は携帯をテーブルに置いた。最近、
忙しいのはわかっているけれど、やっぱ
り誕生日くらいは、Aと一緒に過ごし
てーなって思う。
今日も頑張ってるから、せめて何か作
って差し入れしてやろうか?あいつの仕
事が大丈夫だったら、今日の夜、二人で
部屋飲みしてもいい。
A、ホルモン好きだし……
ついでに『俺、今日誕生日なんだけど
?』って言ったら、あいつどんな顔すっ
かな?めっちゃ焦りそう。クソ可愛いく
て、いじめたくなる。
店の冷蔵庫に、ハツと砂肝、それとシ
マチョウがあったっけ。あれで何か作っ
てやるか。俺はふと思い立ち、店に行く
ことにした。
自分の誕生日の酒買って、料理して女
のところに行くって……俺、こんな奴だ
った?ガラじゃねーよな。
自嘲しながら、ポケットに財布を突っ
こみ部屋を出た。
初秋の夕暮れ、隣の庭のゴーヤの葉が
弱まった陽射しの下で色褪せて見える。
もう秋だな……どこからか、金木犀の
甘やかな香りが漂ってきた。幼い頃は、
この香りがし始めると、もうすぐプレゼ
ントがもらえるって、ワクワクしたのを
覚えている。
最近は、この香りがすると、また一つ
歳をとっちまったなぁって思うけどね。
駅前は、商店街や飲食店があるため、
平日、休日問わず賑わいを見せている。
俺は、北口のスーパーで酒と野菜を買っ
た。
店へと向かう道、少し早まった夕暮れ
の中を、自分の長い影を引き連れて歩い
た。
*
店内に一人入り、ゴソゴソと冷蔵庫を
漁っていると、突然入口の扉が開き、俺
は驚いて振り返った。
「宏くん……」
そこには、美咲が立っていた。
「……!」
あまりに驚いた時って、声も出ないのか。
「宏くん……電話かけても出てくれない
んだもん。私のこと避けてるでしょ?」
「……なんで?……ここにいんの?」
俺は、質問には答えずに、思ったこと
を口にした。喉がカラカラでうまく言葉
が出て来ない。
「今日、宏くんの誕生日だから……会い
たくて。家に押しかけちゃおうって思
ったんだけど、店の前通ったら電気が
ついてたから……」
「俺、彼女いるって言っただろ……」
「じゃあ、訊くけどっ、どうして誕生日
なのに一人で店にいるの?……ねえ、
お願いっ、私の話……聞いてほしいの
……」
美咲の目から、涙が一筋零れた。
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siori(プロフ) - Mielさん» Mielさーん、こんにちは!そうですね、今ちょうど辛いんですっ(T_T)フキちゃんほんと可愛いですよね、私の癒しです!移行しましたので、どうぞ♪ (2017年10月1日 15時) (レス) id: a482fb1278 (このIDを非表示/違反報告)
Miel(プロフ) - sioriさんこんにちは。やっと読めました。最後のほうはちょっとツラくて泣きました。フキちゃん可愛いな。いろんなこと考えてるんだなって…。みんなが幸せになれるといいな…。続きも楽しみにしています。 (2017年10月1日 12時) (レス) id: 5ce7b7cc41 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みっくん大好きえみこさん» 今ちょうど見てて(笑)私もできれば優しくしたかったので、おっしゃってくださり助かりましたぁ!えみこさんありがとうございますっ(^▽^;)ミツに浮気させちゃってごめんなさいっ(;^ω^)いつも辛い話を最後までありがとうございます!頑張りますね! (2017年9月29日 19時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
みっくん大好きえみこ(プロフ) - sioriさん、今 読みました。ミツの電話、少し優しくしてくれたんですね、ありがとうございます。少し気持ちが救われました。でも、なんか…申し訳なかったですね(^^; (2017年9月29日 19時) (レス) id: d81176af93 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - みんさん» みんさーん、ありがたいことですぅ〜!楽しみにしてくださってとてもうれしい!拙いながらも頑張らせていただきますね!(*´▽`*) (2017年9月29日 18時) (レス) id: 031c2bcb7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2017年9月6日 14時