ＪＥＷＥＬ ３

納豆入りお好み焼き ページ31

．









　北山さんの作ってくれたお好み焼きに
はなぜか納豆が混ざっていて、焼くと強
烈な臭いがしてきた。


「これな、中にチーズも入ってっから、
　それが納豆の臭いを消してくれて、そ
　の組み合わせが絶妙なハーモニーをな
　……って！こらっ、聞いてんのか！」


”くさい、けせてない”





　北山さんに言っても仕方がないと思っ
たのか、ノートに書いて私に目で訴えて
くる。

　まずそうと言われ、不機嫌な北山さん
はヤケになったのか、お好み焼きをほっ
ぺいっぱいに頬張った。



「あっ、口に入れすぎだよっ」

「けあいだかあ」(気合いだから)


　うわぁ、そんなに一気に口の中に入れ
たら熱いじゃん、口はハフハフしてるし
目が涙目だからっ。




「くきいっぱいり、いえんのがおまいに
　きまっえんだお」


は？今、何つった？(笑)
　



　涙目になりながら、ほっぺをもぐもぐ
動かしているその姿は一見の価値がある。


フフフ、リスみたいで可愛いかも。


　それでもあまりに美味しそうに食べる
から、食べてみたくなってきた私。一口
口の中に入れると、あれ？これ美味しい
……！？

　北山さんがドヤりながら、私の次の言
葉を待っている。





「美味しいかも……」

「ほーら、ほらほらほら！だろだろ？お
　いフキ、おまえも食えよ」



　フキちゃんは不安げに私の顔を見てい
たけれど、私の感想に安心したのか？観
念したのか？お好み焼きを口に入れた。


「美味いだろ？フキ、たくさん食って太
　れよ」



　食べてみたら美味しかったらしくフキ
ちゃんは可愛い口をもぐもぐさせながら
うなずいている。ふふ、可愛いなぁ……


　それから北山さんは、食べきれないほ
どたくさんのお好み焼きを焼いてくれた。









＊








「寝ちゃったね、フキちゃん」

「楽しすぎて、はしゃぎすぎたんだろ」



　食後のまったりとした時間、ソファに
座ってアニメを見ていたフキちゃんは、
いつの間にか微かな寝息をたてながら眠
っていた。私たちは、洗った食器を拭き
ながらビールをぐびぐび。



「ふふ、そうかもね」






「あのさ……ありがとね」

「え？」






「服。あいつ、ああいう服は買ってもら
　ったことないと思うんだよね、女じゃ
　ないとわかんねーじゃん、どういうの
　買ったらいいか」



そうだよね、私もそう思う。




「ううん、喜んでくれて私も嬉しい」








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