4.JEWEL ページ4
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私だって元編集者の端くれだ、その辺の事情は重々承知していた。
「ねえ太輔、ライターとして私に足りないものって何かな?」
「Aに足りないもの?」
「……うん。向いてないのかなぁ?私って」
「まだライターになってやっと1年経ったばかりだろ?これからじゃないの?」
太輔は私をじっと見つめて少し考えると……
「まあ、あえて言えば……編集者に合わせるフレキシブルなスタイルを持つことも大事だと思うよ」
そう言い、彼は私の皿に肉を入れた。
「仕事も選ばないようにしてるし、編集者に合わせているつもりなんだけどな」
「まぁ、その辺は経験じゃない?ほら、自分が編集者だったころの事を思いだせよ。あんまり気の利いたライターよりちょっとぬけてる方がやり甲斐があったりしただろ?
例えば、やたら文章を修正したがる編集者には適当な文章の方が喜ばれたりするんだよ」
「フレキシブルねぇ……」
「担当編集者の特性を見て、その人に愛されるライターになるってことかな、そうすると仕事が次に繋がるんじゃないの?」
わかってるけれど、なかなかね……
「じゃあ……さ、ぶっちゃけ才能は?」
「文章も面白いと思うし、きちんと取材もするし。おまえ文章書くの好きじゃん、暇さえあれば何か書いてたよな昔から……それも才能だろ?」
毒舌な太輔に何と言われるかドキドキしたけれど、太輔は目をパチクリさせた後そう言ってくれた。
「ありがとう……」
「ほら、焼けたよ」
いつもは厳しい太輔だけれど、今日はなんだか優しい。私の不安な気持ちをわかってくれているのか?それともただ同情しての事なのか?
そんなことを思いながら、太輔が焼いてくれた肉を口に入れて気づく。
「ねえ、ここのホルモン味落ちた?」
「おぃ、声がでっかいよ」
店主をチラ見しながら目配せをしてくる気遣いの男。
「だって……こう……もっと前に来た時は感動した覚えがあるんだけどなぁ。まさにジュエルだった!」
” ジュエル ”
誰が言い出したのか?それは、選ばれしホルモンに与えられる賞賛の言葉らしい。
新鮮で美しいホルモンはまるで宝石のように輝いている。
「それは、Aの舌が肥えすぎたからじゃないの?十分美味いと思うけど?」
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siori(プロフ) - にかみつばさん» ニカちゃんを下品要因にしてごめんなさい(笑)ホルモンは私も詳しくないのですが、楽しんでもらえたらこれ程嬉しいことは無いです。にかみつばさんもこれを機に、ホルモンヌに!どうですか?なんて(笑) (2020年6月24日 7時) (レス) id: b69aae1f51 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - こちらも読ませて頂きました。ホルモンに詳しくもなく興味もなかったので読むのを躊躇っていたのですが、読み始めると止まらない程面白かったです。下品な方でよかったには声をだして笑いました。続きが読めるのが楽しみです。 (2020年6月24日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
北山あかね(プロフ) - 凄く続きが気になります!実は密かにこのままみっくんと付き合って欲しいって思ってます笑続き楽しみにしてますね! (2017年6月29日 23時) (レス) id: fdd9e4228f (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - あみさん» あみさん(*^^*)本当に鈍感なんですね、主ちゃん。あんなカッコいい頼りがいあるイケメンになびきそうになります、私なら!(;^ω^)エロ山くん、笑いました。 (2017年6月12日 20時) (レス) id: 34dcf9e021 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ぽっぽさん» ぽっぽさん(*'ω'*)あんなに冷たい態度とられたんですもんね、しかもアンタ呼ばわりされて〜ショック!どんな顔で会えばいいのか。オロオロ。おっしゃるように、お酒で憂さ晴らしするのは作者と似ているかもしれません(;^ω^)分かっていただけてうれしいです。 (2017年6月12日 20時) (レス) id: 34dcf9e021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2017年5月24日 18時