ＪＥＷＥＬ

雨の夜に ページ24

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　微妙なレバーの新鮮さがわからなくて
少し長めに焼いて一口食べてみると……
なんかパサパサ。



”うちのレバーは朝締めしたのしか使っ
　てねぇから。他の店の”うん〇”みてぇ
　なレバーはもう食えなくなんだろ？”




「このレバー確かに”うん○”だ」

「えっ！？」


　つい口から出た私の言葉に千賀くんが
凍りついてる。



「あっ、ごめん、何でもないっ」

「確かに”うん〇”ですよね」


　なんと二階堂くんがレバーを食べなが
ら真剣に頷いている。よかったぁ担当者
が下品なほうで！と、ここでも思う私。

　太輔を見ると、私たちの反応が可笑し
いらしくくつくつと笑ってる。







「上カルビです」


　お店の人が運んできたカルビを見て、
やっと千賀くんが笑顔になった。美しく
サシの入った最高ランクの肉は輝いてい
て、ここの売りはやっぱり赤身の肉なん
だと思った。


「めっちゃ美味いです」

「藤ヶ谷さんにどうして僕が担当になっ
　たのか聞いたら、自分じゃ佐倉さんの
　飲み食いに太刀打ちできないからって
　言ってましたよ。佐倉さん酒豪ですか
　？大丈夫かな俺」

「ニカなら大丈夫でしょ」



と、他人事の千賀くん。



「太輔、私のことなんて言っているか知
　らないけどひどくない？」

「いや、新人くんにもチャンスあげてよ」


太輔は涼しい顔だ。


　それからは酔っぱらった二階堂くんが
千賀に童貞を捨てさせて一人前の男にす
るって無理やりホルモンを食べさせたら
意外にも千賀くんが美味しいかもって言
いだした。

　それから盛り上がり、千賀くんはお酒
が弱いらしく店を出るころにはだいぶ出
来上がっていて、二階堂くんが送って行
ってくれることになった。





「じゃあ、佐倉さんよろしくお願いしま
　す」

「うん、こちらこそよろしくね」


　二階堂くんは人懐こい笑顔になると、
千賀くんと一緒に駅方面に去っていった。







そぼ降る雨の匂いが心地良い。



「A、少し飲む？」

「うんいいよ」



　私たちは彼の知っている銀座の裏通り
の店で飲むことにした。




「編集長、焼肉企画すごく楽しみにして
　るってさ」

「なんかプレッシャーだよ」

「そ？Aなら面白い物になると思うよ」

「ねえ、最近太輔優しくない？」

「そうか？……おまえ女なんだから一人
　で飲み歩いて無理だけはすんなよ」

「ぷっ、女として見てないくせに」



「そうでもないけどね」


「え？」






思わず彼を見た。

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