7.切られた電話 ページ7
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出版社の夜は長い。
編集長始め、なかなか皆帰ろうとはしない。日付が変わる事だって珍しくはなかった。
誰もいない会議室、二階堂くんと一緒に資料とにらめっこ。
「二年くらい前まではメディアに取り上げられたりしていたんでしょ？何かあったのかなぁ……」
「うーん分かんないけど、お父さんも書家でさ、亡くなったのが丁度二年くらい前なんだよ。関係してるって考えた方が自然じゃない？」
二階堂くんは目頭を押さえて上を向いた。
「大丈夫？」
「あー、うん。毎日激務だと正直堪えるよね」
「だよね、ねえ……とにかく考えても仕方ないから、来週にでも北山さんに会いに行こうよ」
「アポ取ってみようか？ええと、電話番号は……これだっ……今電話してみよう」
プルルルルル……
なかなか出ないなあ……
家にいるはずだよねぇ。
切ろうとしたその時だった。
『……はい』
電話の向こうから、男の人の掠れた低い声が聞こえた。
『あっ、あの…北山さんのお宅ですか？』
『……はい』
『私、中原書房の桐谷Aと申します。急に電話をおかけして申し訳ありません。今、少しだけお時間いただいてよろしいですか？』
『……』
無言かよぉ……
負けるな私っ！
『私ども、美術関係の出版をしている会社なのですが、一度お話を聞いていただけないかと思いまして……』
ブチッ！
ええっ！？
「二階堂くん、電話切られちゃった」
「マジで？」
私たちは顔を見合わせて無言になった。
その後何度かかけてみたけれど出ることはなく。
「来週、突撃する？」
「それしかないか……」
どよーんとした空気の中、藤ヶ谷さんが缶コーヒーを持って会議室にやってきた。
「遅くまで頑張ってるねえ。どうぞ」
「ごちそう様です」
「今、アポ取ろうと思って北山さんに電話したんです」
「うん」
「中原書房ですって言ったら即電話切られました」
「それ、想定内だから」
「へ？」
二階堂くんが変な声を出した。
「俺も何度も切られてるよ、若いんだからへこたれるなよ」
そうだったんだ……
藤ヶ谷さんはニヤリと笑い私たちを交互に見た。つまり当たって砕けろって事？
「突撃するしかないよねって、今二階堂くんと話していたところです。来週早々行ってきます」
「おっ、いいねえ」
いいねえって。そうするしかないだけ。
「はい……」
「頑張れよ」
二階堂くんの肩を叩くと、藤ヶ谷さんは面白そうにくつくつと笑った。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい！また来てくださったなんて感激です！星も嬉しいです。また書道やってほしいですね！ (2021年3月3日 19時) (
レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい！右☆をポチッとさせて頂きました！ (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん！お待たせしました！パス付きの方は夜には外せると思います！遅くなってごめんなさい！ (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました！これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー！2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です！涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2016年6月4日 13時
