31.最低なやり方 ページ31
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佐伯さんはとても仕事のできる人で、即戦力としてたちまち頭角を現してきた。
主な仕事は藤ヶ谷さんと一緒で、新しいアーティストの発掘や大手書店との協働によるイベント開催や企画などを担当している。
藤ヶ谷さんから話を聞いたその日、帰社した佐伯さんが早速私たちのところにやってきた。
「桐谷さん、藤ヶ谷さんから北山さんのこと聞いた?」
口元に少しの笑みを浮かべて話しかけられ、その余裕な態度に格の違いを見せつけられているようで落ち込む私。
「………そんなに簡単にいかないですよ」
「分かってるわよそんなの」
「よく一ヶ月なんて言えましたね……北山さん頑なですから無理だと思います」
「一ヶ月って言ったけど、そんなの後からどうとでもなるしね。そう言わないと変えてもらえないと思ったから言っただけ。私だって、それじゃ無理なのくらい分かってるわよ」
佐伯さんて最低……。
やり方が汚いよ。
「サイテーだな」
悔しくて両手をぐっと握り締めた時、ニカが軽蔑したように佐伯さんに向かって一言言い放った。
「この職場では私のほうが上よ、口の利き方謹んでね」
「……っ、」
ニカは佐伯さんを睨みつけると「飲み物買ってくる」って席を立ってしまった。
「じゃあ桐谷さん、北山さんの今までのこと詳しく後で引き継ぎお願いね」
「……はい」
私……もう北山さんの担当じゃないんだ。
これで北山さんに会う理由がなくなっちゃった……。
*
「ほい、A」
見上げると、ニカが二つのコーヒーを持って
立っていた。
「ニカ……ありがとう。ごめんね……まず私が北山さんの心を開くって言ったのにできなくて」
「そんなことないよ」
「自信なくしちゃったよ、色んな意味で」
「Aは良い編集者だよ」
「ふふ。どうしたの?褒めてくれるの?」
少し照れ臭そうに笑うニカ。
「いや、本当にそう思うからさ。それに……佐伯さんにできるか分からないだろ?そうしたらまた俺たちにチャンスが来るかもしれないよ」
「そうだね、できる気がしないよ……彼女が北山さんの心を傷つけそうで不安なだけ」
「Aさ……北山さんに特別な感情抱いてるでしょ?」
「え?」
「違う?」
ニカに言われてすごく動揺した。
特別な感情……
そう、今まで気が付かない振りをしていただけけ。
私は北山さんに惹かれ始めていたんだ。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい!また来てくださったなんて感激です!星も嬉しいです。また書道やってほしいですね! (2021年3月3日 19時) (レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい!右☆をポチッとさせて頂きました! (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん!お待たせしました!パス付きの方は夜には外せると思います!遅くなってごめんなさい! (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました!これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー!2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です!涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2016年6月4日 13時