ある書道家と私 -ki-

24.中途採用の彼女 ページ24

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それから少し経ったある日の事。



「今度、中途採用の社員さんが一人入ってくるらしいよ」



ニカが私に話しかけてきた。




「そうなの？」

「うん、派遣の中村ちゃんが言っていたから確かだと思う」




中村ちゃんというのは派遣二年目の女の子で、どういう訳かかなりの情報通だ。今回は新しい名刺の作成を頼まれていたらしく、それで分かったみたいだった。

さっきから会議室で編集長と一緒に談笑している女の人。綺麗な人だけど……あの人かな？






仕事の前に、全員が集められた。


「今日から一緒に働くことになった佐伯葉子さんだ」

「佐伯葉子です、よろしくお願いいたします」

「佐伯さんは、○○出版からうちに来てもらいました。分からない事だらけだと思うから、フォローしてあげるようにね」




編集長がみんなの前で一言いうと、佐伯さんは一礼した。



「それから、佐伯さんは藤ヶ谷くんと同じチームで仕事してもらうから。藤ヶ谷くんよろしく頼むね」

「はい、分かりました」




いくつくらいの人だろう……
大人の女って感じの人で、２０代後半くらいかな？

藤ヶ谷さんと同じチームっていう事は、もしかしたら私たちとも絡むことがあるのかもしれない。中途で引き抜かれてきたとしたら、凄く優秀な人なんだろう。

紺色のパンツスーツに淡い色のスカーフを巻いて、柔らかそうな髪を後ろで一つに縛ってる。


綺麗な人……
大人の女性って感じ。

私が見ていたら気が付かれて、ニコッと笑って
軽くお辞儀してくれた。





佐伯さんは、笑うと片方に笑窪ができる可愛らしい人だった。







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