20.編集長のコレクション ページ20
・
次の日、ニカと私は編集長のお宅におじゃました。にこやかな奥さんは優しそうな人で、私たちを歓迎してくれた。
初めて伺った編集長の家は、都内のマンション。その一室に、彼のコレクション部屋があるという。
編集長の石川さんは普段は穏やかないい人だけれど、仕事への情熱が凄く、本当に怒るともの凄く恐ろしいという話は聞いたことがある。
編集長の部屋の壁には様々な絵画や書、彫刻などが飾られており、美術の専門書や、うちの看板雑誌であるLIMB ARTのバックナンバーが所狭しと置かれていた。
「あ……これっ」
ニカに呼ばれて行ってみると、その一角には北山さんの書が額縁に入れて置かれてあった。
私とニカは、初めて北山さんの作品を目にする
ことができたんだ。
ニカと一緒に一つ一つじっくりと見せてもらった。
”陽炎”
「それは数年前の大河ドラマの題字です。ドラマの最初にも流れていると思いますし、ドラマの写真集の表紙や台本にも書かれていましたね」
奥さんも好きみたいで、色々と説明してくれた。
この字を見た時、春の道に陽炎が立つところを想像した。
表面だけ暖かいから?ゆらゆらとした墨の濃淡や、絶妙な掠れ具合がなぜか儚く心細げな感じをうけた。
何を思って書いたんだろう?
思い出?何故か彼の心の風景の気がして切ない気持ちになった。
”
灯火のあかり、またその明かりに照らされたシルエットのことらしい。あかりを表現するのに影を見るあたりがなんとも日本人っぽい。
ただの線なのに、どうしてこう様々な表情を表現できるんだろう?掠れた墨と濃淡により、影を表現しているのかもしれない。
北山さんは優れた書家であり、表現者としても超一流だ。
古典の基礎もしっかりと勉強していると資料にも書いてあり、知識や技術も申し分ないはずだ。
”掌”
”
”育む”
”天命 ”
など、次々と素晴らしい作品を見ていく。
最後に見た作品は
”
「それは、ホウセンカの別名なんですよ、ホウセンカの花弁で日本では爪を紅く染める習慣が古くからあったとか聞きます。つまりマニキュアですね」
「そうなんですか……珍しいですよね。この字を書道で書くって」
奥さんは不思議そうな顔をして「私も最初そう思いました」そんな事を言っていた。
・
1223人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい!また来てくださったなんて感激です!星も嬉しいです。また書道やってほしいですね! (2021年3月3日 19時) (レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい!右☆をポチッとさせて頂きました! (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん!お待たせしました!パス付きの方は夜には外せると思います!遅くなってごめんなさい! (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました!これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー!2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です!涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:siori | 作成日時:2016年6月4日 13時