12.まさかの…… ページ12
・
月曜日。
「二階堂くん、じゃあ水曜日の午後二時ってことでいい？」
「オッケー、その時間ならなんとか大丈夫」
私と二階堂くんは最終打合せを済ませ、北山さんのお宅訪問の日程調整をしていた。
「じゃあ俺、藤ヶ谷さんに住所聞いて場所を確認しておくね」
「うん、お願い」
これが、一昨日の月曜日の事だった
*
そして今は、水曜日の午後二時。
現在進行形、私は自分の家の前に立っている。
否、正確に言うと、自分の家の前の家の前に立っていた。
「嘘でしょ……」
「いや、ここの住所であってるよ」
二階堂くんは、藤ヶ谷さんから渡されたメモを見て言った。じゃあ……この家の住人が北山さんだってこと…？
あのお化けさんが……？
変わり者。
引きこもり。
筆で書いた美しい字。
そしてあの眸。
言われてみれば思い当たることばかり。
「じゃあ行こうか？桐谷さん、聞いてる？」
「え？ああ……うん」
ピンポーン。
二階堂くんがインターフォンを押すと、しばらくしてから『はい』と、低い声が聞こえた。
「突然すみません、中原書房の二階堂と申します。北山さんをうちの雑誌で取り上げさせていただきたくて伺いました。少しだけでいいのでお話しさせていただけませんか？」
しばしの沈黙の後
『そういうの興味ないから』
不機嫌そうな声で返事が返ってきた。
どうしよう……
まさかの北山さんに動揺を隠せない私。
私は思い切って話しかけた。
「北山さんこんにちは、向かいの桐谷です」
『え？』
北山さんの小さい声が聞こえた。
「あの……ちょっとだけ出てきていただけませんか？」
二階堂くんはびっくりした顔をして私を見ている。
「ごめん、ちょっとした知り合いだったのっ」
私が小声で囁いた時、ガチャリと音がしてドアが開いた。
「なに？」
出てきたその男の人は、もうマスクをしていなかった。無精ひげを生やして、髪はボサボサだったけれど……
私の目の前に立っているのは、まぎれもなく北山碧水その人だった。
「こんにちは……」
「知ってたんだ」
「え？」
「俺が、北山碧水だってこと」
「違っ、今初めて知ったんです！」
「知ってたんだろ」
北山さんは一言冷たくそう言い放ち、踵を返すと家の中に入ってしまった。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい！また来てくださったなんて感激です！星も嬉しいです。また書道やってほしいですね！ (2021年3月3日 19時) (
レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい！右☆をポチッとさせて頂きました！ (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん！お待たせしました！パス付きの方は夜には外せると思います！遅くなってごめんなさい！ (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました！これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー！2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です！涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2016年6月4日 13時
