2.イケメン書道家 ページ2
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私は東京の某大学を卒業して、今年から都内の小さい出版社の社員となった。
中原書房は小さいながらも美術関係全般を取り扱う出版社であり、国内外の最新アート&アーティスト情報や展覧会情報、評論などを掲載したアートの今を伝える美術雑誌を発行している。
おそらく日本のその分野ではトップの発行部数を誇っていると思う。
元々芸術全般が好きだったこともあり、やる気満々で入社した私。
今年の新卒採用は二階堂くんと私の二人だった。
専門的な分野の出版社ではあったけれどかなり狭き門。
しかも就職が難しいご時世に本当にラッキーだったと思っている。
入社してから1か月たち、どうにか職場の雰囲気にも慣れてきた頃、先輩編集者の藤ヶ谷さんに呼ばれた。
「出版業界も衰退してて、雑誌の落ち込みが問題なんだ。うちなんて特殊な分野だからそんな中でも売上は良いんだけど、もっとさぁ、こう……頑張りたいわけよ」
「……はぁ」
「でね、ある人に復活してもらえたらなーと思ってね」
「ある人ですか?」
藤ヶ谷さんは頷くと「桐谷さんに担当してもらいたいのはね……この人だよ」と言いながら、一枚の紙を私に見せた。
この人、かなりのイケメンな上に仕事ができると評判で、バイトさんからも絶大な人気がある人だ。
藤ヶ谷さんが見せてくれた一枚の紙には
―――――――――――――
北山宏光 27歳
書道家
「雅号」北山 碧水(きたやまへきすい)
―――――――――――――
と書いてあり、濃紺の着物を着流した写真が貼ってある。
かっ、かっこいい……
めっちゃイケメンじゃないですか!
神さまありがとー!こんな人の担当になれるなんてますますやる気が出てきたよっ!
「でも……この人、本当に書道家なんですか?」
「うん、知らない?何年か前に凄く人気があった書道家だよ」
「はぁ……」
書家は詳しくないもん。
私はその紙を見つめた。
そりゃ人気でるよね……こんなにかっこよくて若いし、見た目チャラい。なのに書家なんてギャップの塊だし。
クリっとしてるけど切れ長の目に、ぷっくりとした唇。きりっとした眉毛に爽やかな髪型。
書道家って普通、気難しそうなおじいさんのイメージがあるけれど、若手の人もいるもんね。珍しくはないのかも。
けれども――……
はっきり言って、書道家には見えなかった。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい!また来てくださったなんて感激です!星も嬉しいです。また書道やってほしいですね! (2021年3月3日 19時) (レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい!右☆をポチッとさせて頂きました! (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん!お待たせしました!パス付きの方は夜には外せると思います!遅くなってごめんなさい! (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました!これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー!2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です!涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2016年6月4日 13時