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噂の狂犬ちゃん ページ4

.


殴られた頬に手を当てる俺に再度睨みを効かせると、

その女子は俺の横を通って体育館の外へ出ていく


未だに状況が飲み込めず、俺はその場に佇んでいた


「はは!まさか三井さんを殴るなんてな!
ったく流石だぜウチの狂犬ちゃんは」

一部始終を見ていたのであろう宮城が、腹を抱えて笑い転げている


「“狂犬ちゃん”…?」

お前笑い過ぎだっての、そう言いながら俺は宮城に聞き返す


「可愛い見た目とは似ても似つかない喧嘩っぱやいあの性格、
それにちなんで“狂犬ちゃん”。

学校でも結構有名っすよ」

「…初めて聞いたぞ」

「だって三井さんろくに学校来てなかったでしょ」

「うるせぇ…」

不良時代をいじられ、口ごもる俺


「でも何でそんな奴が俺を急に殴ってくるんだよ」


不良時代に何か因縁あったか?

でも女には手出した事はねぇしな…



「心当たりあるんじゃないすか?ほら、この前の」

「…あー……、」

そういわれ体育館襲撃事件…否、俺の黒歴史を思い浮かべる


確かに俺はとんでもねぇ事をしてしまった

関係もない奴も巻き込んでしまって、
直接的でないにしても傷つけちまった奴も多い

本来なら取り返しのつかねぇ事をしてしまったという自覚はある


「確かにあれはマジで申し訳なかったと思ってるぜ…
でもそれにアイツは関係ねぇだろ?」

「いやぁ〜まぁアイツ、俺の事大好きなんで。
大好きな俺に手を出されてブチ切れたんじゃないすか?

それに…」

そう言いかけて

あ、これ言ったら次は俺が殴られるわ、と話すのを止める


つまり…好きな奴を殴られて殴り返してきたってことか?


いや、まぁその理由は分かるし、

明らかに俺に非があるのはわかるけどよ



「…脳筋過ぎねぇか?それ、」

「っすよね〜、でもそれがアイツなんすよ」

言葉足らずなんすよねアイツ、と呑気な事を言う宮城


コイツ自分は殴られてねぇからって…

実際問題あれクッソ痛かったんだぞ

つかあんな小さな体のどこにあんな力があるってんだよ



「まぁあれでもそこそこモテるんすよ、アイツ」

顔は良いんで、と続ける

「は、あの脳筋が?あんな馬鹿力なのに?」

「でも実際可愛いとは思ったでしょ」

「いや、それは…」

俺の反応に、図星っすね、と笑う


「てか元はといえば悪いのは三井さんなんすから」

「そりゃ…分かってるよ」

分かればよろしい、というような顔をする宮城


……チクショウ

.

険悪状態→←強烈な右ストレート



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葉ノ子(プロフ) - 椿さん» 率直なお言葉がうれしいです、ありがとうございます!こちらも近々更新しますのでどうぞよろしくお願いします。 (2023年3月24日 3時) (レス) id: cc75193184 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - めっちゃ好きです… (2023年3月22日 9時) (レス) @page8 id: 1cd86a6590 (このIDを非表示/違反報告)
葉ノ子(プロフ) - ゆらちょさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!こちらの作品は気まぐれ更新ですがどうぞよろしくお願いします。 (2023年3月9日 19時) (レス) id: cc75193184 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらちょ - 好きだ‥この小説 (2023年3月7日 13時) (レス) @page3 id: 83e7434c67 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉ノ子 | 作成日時:2023年3月7日 13時

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