数分前 ページ4
「へーっ、ワカメさん、そんなこと言ってたの。」
私のお弁当箱から卵焼きをひょいとつまみ、嬉しそうに笑って言った。
空き教室の机で、向かい合ってお昼御飯を食べるようにして結構日にちが経ったと思う。どっちからの約束かとか、いつからだとかは曖昧だけど。
まさか血とかいれてないよね?なんて聞かれそうだけども。そんな少量のもんを体内にいれられたとして、それで幸福を感じる訳じゃないのだ。
食道も、胃も、十二指腸も小腸も大腸も気管支も肺も心臓も細胞も骨も血も。
全部、ぜんぶと交わってみたいなぁ。
きっと、スバルの瞳みたいに、キラキラしてるんだろうな。
「別に愛に悩んでもいないのに断崖絶壁から身を投げて永遠になるのは、少し違うのかな。
入水でも…いや、もう一工夫。」
と言えば、スバルは「あははは!A先輩面白いね!」と、楽しそうに笑いだす。
「スバルは希望ある?」
「おれ?俺ねー……
今のA先輩と死んでみたい!」
「…今?」
「いま。」
…つまり、若い状態の私、だろうか。
わからなくて首を捻ってた、ら。
視界が急に傾く。
肩を強く押され、仰向けに倒された。
頭を打ち付けて火花を見る。
炒めにうめいて頭をさすろうとするけど、両手は固い床に縫い付けられ、動かせない。
馬乗りになり、するどく見下ろしているのは、勿論…スバルしかいない。
嬉しそうに、幸せそうに笑っている。
けれど目だけは狂気を帯びていて、白目を赤く染めていた。
私は驚き、目を見開く。
「俺、今のA先輩と死にたいなぁ。
キラキラしてる目で、俺との最期とか未来とか…一生懸命に、幸せそうに話してくれるの、嬉しいんだ。
ね、A先輩が卒業して大学行っちゃったら、俺なんにも出来ないもん。
浮かれた男子大生らがA先輩に群がっちゃうの、想像しただけでも嫌だよ、俺。
先輩、どんな奴等にでも優しくしちゃうでしょ?
でも無理なんだ、俺高校生だからさ、其奴ら排除するために毎週、大学まで通ってたらお金なくなっちゃうし時間も足りない」
そういうとこだけは普通なんだ、って感心してみれば、スバルは悲しそうな顔をやめて。また可愛らしい笑顔に戻る。
「___…だから。」
ぱっ、と、捕まれていた両手が離される。
私のお腹辺りに馬乗りになって、スバルは自分のパーカーのポケットをごそごそとまさぐった。
「愛してるよ、先輩。だから…
_________?」
「……はぃ?」
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作者名:美優 | 作成日時:2018年3月1日 14時