藤色に染まれば【不死川実弥】 (ページ7)

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誰にでもそうなのかよ

あの日、自分の抱いている感情を理解してから実弥は暇さえあれば蝶屋敷を訪れていた。

「Aよぉ！俺様の四人目の嫁になる気はないか？！」

『んー…ないかな』

「……A…今度鮭大根を一緒に食べないか」

『ごめん、忙しいの』

イライラする。

蝶屋敷にくる隊士たちは皆、Aに気があるみたいだ。

彼女は誰に対しても平等に接するため、
好感が高いのも理解できる。

それにしても先程の冨岡の惚気顔といったら、
あれは「好き」と顔に書いてあるようなものだ。

気にくわねェ

実弥は眉間にしわを寄せながらAの事を目で追っていた

思い起こすとAはよく隊士に言い寄られるもののどの誘いにものったことがない

もちろん実弥の誘いにもこたえない

何度か甘味処に誘ったことがあるが、一度も首を縦に振らなかった。

冨岡の治療をしているところを青筋を浮かばせながら見ていると背後から人の気配を感じた。

「そんな怖い顔して見て…
不死川さんは本当に姉さんのことがお好きなんですね」

「んなわけねェだろッッ！糞がッ」

苛立ちが最高潮に達した実弥は思わずしのぶに大きい声を出した

『もうなに喧嘩してんの、…
あ、実弥来てたんだ』

「別に喧嘩してた訳じゃないんだけど、
不死川さんがA姉さんに用があるみたいなの
それじゃあ私はこれで」

実弥の声に気づいたAが診察室から出てきた

それを確認すると顔を真っ赤にした実弥を残し、しのぶは元来た道へ帰る

「……本当にわかりやすい人なんですから」