【番外編1】腐女子と腐男子と、電話 ページ4
「あー…此処に寝てるのが中也だったらなぁ……」
「やめろ…!やめろ…!此のベッドは僕の専用スペースだ…!」
「いや私のベッドですけど…」
たった一人の親戚の妹にこんなに嫉妬している顔を見せるだなんて、乱歩兄ちゃんのファンの子達は知らないんだろうなぁと考えるとちょっと優越感だけど、もうこの顔も台詞も見飽きたし聞き飽きた。乱歩兄ちゃんこそ早く彼女作ればいいのに。
「乱歩兄ちゃんこそ早く彼女作れば?」
「お前がなるか?」
「質問に質問で返すなクソ」
「…興味ないな。女など自分の事しか考えずに動く喧しい生き物じゃん。男などただの飾りか財布だと思ってるだろ。A以外はな」
「偏見だよ。ドラマの見すぎとかじゃない?」
「いや、ゴーゴリ君やドスト君の元恋人たちはそんなやつらだったら。見ていて解る」
二人が変な女の人に引っかかっているわけではない。っていうか引っかかるわけがない。悪いのは全部彼女さんのせいだと私は思っている。付き合い始めで「妹みたいなやつだ」と何度かお兄ちゃんたちの彼女さんにばったり会って紹介されたことはある。可愛いねーなんてお世辞を並べられて、ちょっと話をするけれど、あ、この人いい人っぽいと毎回思う。毎回思っているのに、解れたときに原因を聞くと束縛が酷かったとか、お兄ちゃんたちより自分の事しか考えていなかったとか。そりゃ酷いねとしか言えない様な別ればっかりだった。
「でも中也は違うよ。私の事ちゃんと好きでいてくれてるよ」
「解っている。解っているからこそ、余計に腹が立つのだ。長い事面倒を見ているAを、ぽっと出の男に奪われるんだから」
若干残念そうな目でそういう乱歩兄ちゃん。いつもふざけてそんなこと言ってるけど、今日はなんだかいつも以上に真剣そうな顔だ。これじゃ本当に私が明日花嫁に行ってしまうような空気じゃないか。っていうか乱歩兄ちゃんが私のお父さんみたいな雰囲気になってきてるけどなんなのこの部屋の空気。いいかげんにして。私そろそろ明日の準備と原稿したい。
「僕的には名前はポオ君か虫太郎君あたりが良いと思っていたんだけど…」
「足して二で割ったようなのが中也だよ」
「…納得してしまう自分が情けない」
さてとベッドから立ち上がった乱歩兄ちゃんはベランダに置いておいた土足を手につかみ、そろそろ帰ると部屋の扉に手をかけた。見送ろうと思い腰を上げようとしたのだが、そのままでいいと私の肩を押して、体はベッドに逆戻りした。
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雑草と花(プロフ) - 5作目楽しみにしてます! (2020年1月30日 18時) (レス) id: 157490c8f1 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃目(プロフ) - 確認致しました!とても可愛いイラストありがとうございます! (2019年2月28日 20時) (レス) id: 7e2d009bdf (このIDを非表示/違反報告)
琴美(プロフ) - 雪乃目さん» 届きましたか?あかねから、、、 (2019年2月27日 16時) (レス) id: 43e0fe1e2c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん - ログイン…出来ない……メアド、ナニソレ美味しいの?← (2018年12月16日 23時) (レス) id: a3f3cd9373 (このIDを非表示/違反報告)
琴美(プロフ) - そう言えば私はTwitterをやっていなかった (2018年12月16日 8時) (レス) id: 43e0fe1e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪乃目 | 作者ホームページ:https://alicex.jp/koiseyo/
作成日時:2018年3月22日 0時