7月･拾肆【信之】 ページ17
信之視点
幸村とAから文化祭の招待状を貰い、稲と共に母校へと足を運ぶ。今年はAも参加していることから、学園に着く前から稲と文化祭の話で盛り上がってしまう。
「あ、見えてきましたよ」
「懐かしいな…さて、まずはパンフレットを貰おう。幸村が珍しく入れ忘れていたからな」
校門をくぐると他の一般客や生徒で外も人に溢れ、動きずらい…とまでは行かないが中々の盛況さを見せている。すぐ横にパンフレット置き場が設置されていたため、まずは午前に仕事があると言っていたAに会うために1年教室へと向かう。
「父は確か二年の手伝いがあると言っていたので、後で行ってみましょうか」
「あぁ、この時間なら私たちがAの所でゆっくりしていれば、Aも自由時間が来ると思うしな」
そう話していると、少し混んでいる1年教室へと着き中へ入る。
『いらっしゃいませ！信之兄と稲姉!!来てくれたんだぁー！』
「あいからわずAは元気だな。可愛い弟と妹が態々 招いてくれたんだ、無下には出来んさ」
「お久しぶりです。その衣装とっても似合っていますよ」
すぐに私達に反応してくれたAが駆け寄り、私達に抱きついてくるのを2人で抱きとめ久しぶりの再会に話し続ける。
「兄上、すみません今年はパンフレットを忘れてしまっていて…そこで話していても何ですから、私達の座る席へ来ませんか？」
同じタイミングに訪れていた幸村に誘われ、Aと共に案内されて三成たちの座る席へ座る。
「他の皆も来ていたか。どうやらいい時に来たみたいだな」
「久方ぶりです。お元気そうで…」
「お2人も仲睦まじく！幸村もおふたりをお待ちしておりましたよ！」
「ま、義兄弟の絆っていうやつかも知れませんな」
「お2人はご注文は？」
いつも幸村とAの周りにいる面子に懐かしく思いながらも、稲と共に注文を済ませ昔話に花を咲かせる。
周りを確認すると、孫市殿や秀吉殿、勝家殿たちや他の義兄弟たちも揃っており我らで貸切のような形になっていた。
『お待たせしました。抹茶と弓姫あんみつになります。あんみつには抹茶かきなこを掛けてから、こちらの黒蜜をお掛けください』
しっかりした接客に成長したと涙を流しそうになるが、Aの慌てる顔が思い浮かびすぐに冷静さを取り戻す。
そういえば、中指に包帯が巻かれていたが……
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