叱責 ページ38
「えっと…おはようございます?」
その言葉と同時に、皆がわっと駆け寄ってきた。傷に障らないようになのかベッドの周りに膝をついてボロボロと涙を流している。カナヲちゃんは、嬉しそうに笑みを浮かべながら少し汗をかいている。あぁ、まだ泣けない。きっと、もう少し心を開けるようになったら泣けるようになるよ。大丈夫、カナヲちゃん。
…あれ?そう言えば血が止まらないって言ってた?私呼吸で止血しなかったっけ?と気になったのでカナエさんに聞いてみた。どうやら、切羽詰ってる状態でやったので完璧には止められてなかったらしい。気を失った直後に再び血が溢れ出したそうな。
…よく生きてたな、私。
「…皆に心配かけちゃって、ごめんなさい」
「…ッ本当ですよ」
私の言葉に返したのは、アオイちゃん。キッと鋭い眼差しで私を射抜き、ぎりりと歯を食いしばった。
「裏柱様は、いつも笑顔で…私たちに会いに来てくれます。いつも、いつも…!たまによくわからないことをしてしのぶ様に怒られてますけど…!!」
「え?うん、…うん?そうだね?」
「そんな日常を見てて、幸せだって…ッ!いつも、私たちに幸せを与えてくれる裏柱様のことが大切なんです!裏柱様は、私たちの日常の一部なんです…!!」
アオイちゃんの言葉に、ずきずきと心が痛くなる。
「なのに…裏柱様が怪我をしてここに来るときはいつも血だらけで…!気を失ってて、青白くて!いつもいつも、心臓が止まりそうになるんです…!!」
「…うん」
「今回は…いつも以上に危なくて、生死を彷徨ってる状態で…!!血が足りないし、一か月以上目を覚まさないし…!!」
え?私一か月以上目を覚ましてなかったの?とか、そんなこと考えている余裕はなくて…。
鼻の奥がつんと痛くなって、視界が歪む。私がどれだけ危ない状態だったのかを痛感した。死ぬかもしれない、そんな状況にいた。冗談にならない位、危なかった…。ぼろっと、瞳から涙が零れ落ちる。
「裏柱様…!もっと自分を、大事にしてください…!!」
「っ…う、ん!ごめん…!!ごめんねッ」
涙が溢れて止まらない。しのぶを抱き締めている為拭えない涙を、カナエさんとカナヲちゃんが拭ってくれる。なほちゃん、きよちゃん、すみちゃんが声を抑えながら泣いていて、どれだけ皆に心配をかけたのか痛いほどわかった。
いなくならない、私は言葉でしか約束していなくって…
私は皆の前からいなくなるところだったのだ。
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なぎ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…‼ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: c7ded9271f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます…応援しています!頑張ってください!! (2022年5月25日 23時) (レス) @page42 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
しらこのり - 更新ずっと待ってます 再開して欲しい… (2022年1月15日 11時) (レス) id: 573692b408 (このIDを非表示/違反報告)
人類のようなナニカ - コメント失礼します。この作品本当に大好きで、読み進めるのが楽しくて楽しくて仕方がないです!応援しています!!!!更新頑張って下さい! (2022年1月7日 19時) (レス) @page42 id: 60efa73c00 (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - 投稿楽しみにしてます! (2021年12月31日 18時) (レス) id: 8c5f3cdf03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2019年8月20日 14時