夜を愛す少女【鬼滅の刃】

生存報告 ページ39

皆から心配の叱責を頂き自分の命をもっと大事にしようと誓ったAです。あの後しのぶが起きて私が泣いてることに気付いたとたんまた泣き出すんだから大変だった…。カナエさんは凄く微笑ましそうに見てたけど…。

さて、私が今いるのは煉獄邸。私の生存報告と、杏寿郎さんの安否確認だ。うんまぁ私の方が重傷だったんだけどさ。ちなみに炭治郎達はもう鍛錬も開始してて任務にも出向いてるらしい。ごめんね柱の私が長い間寝てて…不甲斐ないよ…


縁側に腰掛け玉露を啜る。隣では左目に眼帯を付けた杏寿郎さんが同じように玉露の注がれた湯呑を片手に黙り込んでいる。一ヶ月も目を覚まさなかったんだもんなぁ…ちょっと気まずい。


「えっと…杏寿郎さん、怪我の具合はどうですか？」

「む？だいぶ良いぞ。柱として復帰することは叶わないが、鬼殺隊として鬼を滅することはできる」


湯呑を持ってないほうの手でぐっぱぐっぱと手を動かす。…良かった、命を懸けた甲斐があったというものだ。そう思って、再び自己嫌悪に陥る。その思考が駄目なんだ。


「…Aはどうだ」

「はい？」

「一ヶ月、寝たきりだったんだぞ」


…その通りだ。一ヶ月寝たきりだったおかげで怪我の治りはそれなりに早いが、筋肉が衰えてしまって昔のように動けない。任務に赴くことすらできない。素振り、体力作り、全集中の呼吸。全て基礎からやり直しだ。…これ遊廓編間に合うかな、私がいなくても何とかなるしあの話は全員生存するから手を出す必要はないんだけど…

小さくうぅんと唸ってから、隣にいる杏寿郎さんを見上げた。…あ、眼帯も大層お似合いです眼福。


「怪我は大丈夫です。傷も塞がりましたし、後は治るのを待つだけです。ただ問題は筋肉の衰えですね。素振りをしてもすぐ腕の筋肉が限界を迎えてしまって…。体力も著しく低下しているので最近は走り込んでます」

「…そうか、大事ないんだな」


それなら良い！！といつも通りの笑みを浮かべて玉露を一気に煽る杏寿郎さん。早くかまぼこ隊にも生存報告しなきゃな。ぼんやりと考えながら玉露を啜ると、いきなり肩を引き寄せられた。首の後ろに感じる逞しい腕、がっしり掴まれている肩。頬に当たってるのは…杏寿郎さんのがっちりした胸板…

えっ、なんのご褒美です？


「俺はもう柱ではない。Aと同等の立ち位置ではなくなってしまった。だが…」

「持ちうる力全てを使って、Aを守ろう」


…ッかっこよすぎて無理です！！

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