鬼ニ…? ページ33
「貴様か…"あの方"のお気に入りは」
「…久しぶりに呼ばれたけど、やっぱ不愉快」
私は再び猗窩座に斬りかかり、弾かれたのを利用して杏寿郎さんの近くに着地する。月の光を刀に反射させ、大きく呼吸した。
月の呼吸、伍ノ型 卯ノ花月夜
ふわっと、辺りが光に包まれる。その光を見た猗窩座がすぐ飛び退き、顔を顰めた。
「…やっぱり、伝わってるか。何年も前の話なのに」
「…A、そろそろ鬼遊びも飽きたころだろう。こちらに来い、鬼になれ」
猗窩座が私に手を差し伸べる。私は頭を振り、拒否した。
「鬼にはならない。私は人間のまま、大事な人たちを守りたいから」
再び刀を構える。猗窩座はそんな私を見て眉をしかめた。構える様子のない猗窩座に私は首を傾げる。隣にいる杏寿郎さんも後ろにいる炭治郎も不思議そうに猗窩座を見ていた。
猗窩座が苦々しげに口を開く。
「…女には、手を出さん。貴様はとっとと後ろに下がれ」
「…は?」
手を出さない?女に?
…生前、なんで敵である猗窩座が人気あったのかわかった気がする。多分過去もいろいろあったんだろうけど、こういうところが人気だったんだろうな。でも、悪いけど…
「私は女である以前に鬼殺隊、鬼に後ろに下がれって言われて下がるわけないでしょ」
「…」
それでも、構えようとしない。うーん、頑固だな。まぁその方が私が怪我する危険性が減ってとても助かるには助かるんだけど…。ちらと杏寿郎さんの方を見る。
出血も減ってる、顔色もさっきよりマシだ。私はそれを確認して光の外に出た。
「貴方が女に手を出さないって信念貫いてるところ悪いけど、私には関係ないから。全力で行くよ」
地面を蹴って刀を振るう。型を使って攻めるも、猗窩座は表情を一切変えることなく防いでいる。そりゃそうだ、私は杏寿郎さんみたいに強くない。他の隊士より実力はあるけど、それだけだ。猗窩座にも、敵わない。
ギリッと歯を食いしばり再び刀を振るうと、腕を掴まれ投げ飛ばされた。着地しようと体制を整える前に、誰かに受けとめられた。見上げると、片目を閉じたままのあの人。
「杏寿郎さん…!!」
「これで分かっただろう。どう足掻いても人間では鬼に勝てない」
その言葉に、杏寿郎さんが笑みを浮かべる。そして私を下ろし刀を構えた。
「俺は俺の責務を全うする!!ここにいる者は誰も死なせない!!」
私は急いでその場から離れ、目的の場所へと向かう。狙うは、猗窩座の右腕…!!
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なぎ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…‼ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: c7ded9271f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます…応援しています!頑張ってください!! (2022年5月25日 23時) (レス) @page42 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
しらこのり - 更新ずっと待ってます 再開して欲しい… (2022年1月15日 11時) (レス) id: 573692b408 (このIDを非表示/違反報告)
人類のようなナニカ - コメント失礼します。この作品本当に大好きで、読み進めるのが楽しくて楽しくて仕方がないです!応援しています!!!!更新頑張って下さい! (2022年1月7日 19時) (レス) @page42 id: 60efa73c00 (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - 投稿楽しみにしてます! (2021年12月31日 18時) (レス) id: 8c5f3cdf03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2019年8月20日 14時