襲来 ページ32
杏寿郎さんと共に肉塊を散らしていると、不意に視界が回った。いや、というより…足場が、列車が…車体全体がぐらりと揺れた。
すぐ炭治郎達が魘夢を倒したのだと気付き、構える。
炎の呼吸、伍ノ型 炎虎
技を連続で出して、車両の被害を最小限に…!少しでも、杏寿郎さんへの負担を減らせるように!
列車の揺れも収まり、車内にいた客も全員無事を確認する。外に移動させるかどうかを少し考え、これからの戦いに巻き込まれないように中で待機しててもらうことにした。
割れた窓から外に出て辺りを確認する。炭治郎と杏寿郎さんは…
「…いた」
ここから、少し離れた場所。まだ会話しているようで猗窩座は来ていない。私は二人に駆け寄ろうと地を蹴った…直後、
空から、何かが降ってきた。
いや、分かってる。この話の展開はきちんと把握している。でも、いざ目の前にすると焦るじゃないか。私は、助けられるのか…杏寿郎さんを。…いや、できるできないじゃない。やらなきゃ、いけない。
刀を握り、息を詰める。猗窩座は炭治郎に向かって拳を振り上げ攻撃しようとしたが、杏寿郎さんに阻止された。その顔には、笑みが浮かんでいる。
「いい刀だ」
「…なぜ手負いの者から狙うのか理解できない」
二人が会話を始める。猗窩座が杏寿郎さんに鬼にならないかと誘い、杏寿郎さんがそれを断る。猗窩座が人間は弱者だと貶し、杏寿郎さんが人間の美しさを語る。二人の価値観のズレが、少しずつ浮き彫りになる。
猗窩座はこれ以上の会話は無意味と思ったのか、「鬼にならないなら殺す」と言い、杏寿郎さんに攻撃を仕掛けた。
二人の戦いを目で追いながら、刀に月の光を吸収させる。今日の月は半分…より少し新月寄りだろうか。時間をかけて月の光を吸収させなくては…
杏寿郎さんが助太刀しようと動いた炭治郎に気付き、待機命令を出す。傷が開いたら致命傷になる、それは避けなければいけない。
二人の技がぶつかり合う。土煙が晴れた時、杏寿郎さんはボロボロになっていた。視認で分かるのは、潰れた左目。肋も折れ、内臓も傷ついている。私はまだ十分に月の光を吸収できていない刀を構え、呼吸を切り替えた。地を蹴り、猗窩座に向かって刀を振り上げる。
月の呼吸、壱ノ型 三日月
猗窩座は背後から現れた私に少しだけ驚いた様子を見せたが、すぐその場から飛び退き致命傷を避けた。猗窩座の肩から脇腹にかけて一筋の赤い線ができる。
猗窩座は、私を見て笑みを浮かべた。
4278人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぎ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…‼ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: c7ded9271f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます…応援しています!頑張ってください!! (2022年5月25日 23時) (レス) @page42 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
しらこのり - 更新ずっと待ってます 再開して欲しい… (2022年1月15日 11時) (レス) id: 573692b408 (このIDを非表示/違反報告)
人類のようなナニカ - コメント失礼します。この作品本当に大好きで、読み進めるのが楽しくて楽しくて仕方がないです!応援しています!!!!更新頑張って下さい! (2022年1月7日 19時) (レス) @page42 id: 60efa73c00 (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - 投稿楽しみにしてます! (2021年12月31日 18時) (レス) id: 8c5f3cdf03 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:杏 | 作成日時:2019年8月20日 14時