甘エテ欲シイ ページ3
無一郎君が目を見開く。その目からポロポロと涙が零れているのを見て私は慌てた。
「えっ!?泣かないで!?ごめんね!?」
「…名前」
「え?」
「名前、もう一度教えて…」
無一郎君の涙を必死に拭いているとそう言われた。
え、もしかしてもう忘れられた?え、悲しい。私はちょっと落ち込みながら「Aだよ」と言った。
「…A」
「なぁに?」
「夢の中で…ずっとなんか温かかったんだ」
無一郎君はそう言うと涙を拭っている私の手を掴んだ。そして頬を摺り寄せる。それだけで心臓破裂するんじゃないかってバクバク言ってるのに、無一郎君は止めを刺してきた。
「Aの手だったんだね…。凄く、安心した」
可愛すぎでは!!?甘えるように私の手に頬を摺り寄せる無一郎君。あー、可愛い。凄く可愛い。
…そういえばさ、無一郎君ってお兄さんのこと覚えてなかったんだよね?でも、夢の中では出てきている。…きっと、心の奥底で傷を作ってるんだ。忘れていても、忘れていない。
「…無一郎君、ここには頼りになる人がたくさんいるよ。たくさん甘えていいの。苦しくなったら、私の所においで。たっくさん甘やかして幸せにしてあげる!」
そして幸せそうにする無一郎君を見るのが私の幸せ!と満面の笑みを浮かべながら言うと、無一郎君はよくわからなそうに首を傾げながらわずかに頷いた。
あ、そいえば金平糖の袋出したままだった。自由な方の手で金平糖を取り出しながら無一郎君の口元に持っていく。相変わらずよくわからなそうにしている無一郎君。
「はい、あーん」
「あー、ん?」
あーと口を開けた無一郎君の舌に金平糖をコロンと乗せる。「飲んじゃだめだよ〜」と一応注意してみると、無一郎君はコロコロと口の中でころがし始めた。
…少し表情が緩くなったかな?
「どう?」
「…甘い」
「ふふっ、でしょ?もう一つ食べる?」
ピンク色の金平糖を口元に持っていくと、無一郎君は静かに口を開けた。どうやら金平糖が気に入ったらしい。うーん、可愛いね。これからもたくさんお菓子を貢ごう。
自分の口にも金平糖を投げ込む。コロコロところがしていると、砂糖が溶け出して口の中にふわっと甘味が広がった。うん、美味しい。
「…A、頂戴」
「うん、好きなだけどーぞ!」
口を開けた無一郎君の舌に今度は薄紫色の金平糖を乗せた。
あれから毎日のようにお見舞いに行きお菓子を貢いでいることをしのぶに知られ怒られるのはすぐ後の話
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エリカ - はぅー!!!!!!!時間的に間に合わないけど、杏寿郎さんといちゃラブしてほちぃ!!!!!!!!!!!!!! (2020年4月23日 17時) (レス) id: f0480ad40d (このIDを非表示/違反報告)
りん - うーん…結婚できるの姫島さんかむいむいかな〜? (2020年4月22日 22時) (レス) id: 4a20aa403e (このIDを非表示/違反報告)
愛心 - 富岡さんの富はこの冨ですよ (2020年4月18日 15時) (レス) id: b59d3295d5 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 「弦弥」じゃなくて「玄弥」ですね(番外編の求婚会議) (2020年1月4日 22時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
ネームネーム - 1の方でもそうだったんですが、冨岡さんが富岡さんになってます。(上のちょんっていうやつがあるかないか) (2019年12月20日 16時) (レス) id: a0201b5f31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2019年7月15日 1時