勝利は私の手に 2 【潔世一 成り代わり】

「世一と私」３ ページ39

「……てか、なんで私縛られてんの？」

「潔が女の子になってるからだよ！」

「は？ え、元々女だったよ？ と言うか、なんで潔呼び？ いつも、Aって言うのに」

「そういう事じゃなくて！！」


さっきから蜂楽の様子がいちいちおかしい。テンパっているし、Aを見るなり、潔が可愛い……と、頭がおかしくなったのかと疑いたくなる。その上に、何やら話が噛み合わない。

縛られているAを気にもせずにヘアアレンジをしている千切と蟻生は、やはりオシャだった。

そしてヘアセットが思うように行ったのか、鏡でAに見せてくる。髪の毛で薔薇を作り、ハーフアップにしていたその髪型は、とても可愛らしいものだった。


「わー！ 凄い！」

「だろ。絶対ハーフアップ似合うと思って」

「その薔薇も、オシャだ。流石顔面オシャなだけある。潔A……と言ったな。そのオシャ、"俺"も見習わせてもらうぞ」



「じゃなくてー！！」

「なんでこのヘタクソが女になってんだって話」


蜂楽と馬狼がキレ気味で言うと、Aはまた訳が分からないと言いたげな顔をした。


「……！！ もしかしてなんやけど、潔くん、誕生日のことスルーしてたからAちゃんになっちゃたとかやない？」

「それもあるのかな……。盛大に祝おうと思ってたんだけど……」


氷織と雪宮がそういえば、可哀想だったか……と言った表情をするみんな。たが、凛と士道だけは何故かそんなこと知らなかった。


「んじゃAちゃん。俺と楽しいことしよっか♡」

「前、爆発がどうのって言ってたよね。絶対そういう奴じゃん、本当に嫌だよ、私！」


まあまあ、と言い、玲王が士道をAから離すと、Aについての解説を始める。


「俺が思ったことなんだけど……まぁ、現実味は無いけど、別時空の潔世一ってことなんじゃねえかなって。

で、別時空の潔は、女として青い監獄(ブルーロック)に来てて、潔世一だけど、名前はAって事じゃねえの？

……みんな、何となくわかった？」


玲王が言うには、Aと世一は別時空の同一人物であり、Aと世一が何らかの形で入れ替わってしまったということだ。


「え、じゃあ世一もこんな状態になってるかもしれないってこと……！？」


Aが心配そうに言えば、モニターが映り、絵心が出てくる。すると、絵心は淡々と話し始めた。


「おはよー。才能の原石共よ。じゃあ、早速だけど、潔Aと潔世一の件の話は聞かせてもらったよ」

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