69話「一撃」 ページ33
反応が遅れた千切は、鰐間兄弟を追いかけようと、スピードを上げ、ぐっと、足に力を入れた。
「おいおい、いいのか? そんな全力で走ったらまたぶっ壊れるぞ、ガラスの足が!」
鰐間弟の言葉に、千切の表情がだんだんと強ばる。そして、千切の瞳には絶望のようなものが映っていた。
すると、Aが鰐間兄のキープしていたボールをスライディングで奪い返した。その勢いに、地面に倒れ込んだ鰐間兄は咄嗟にAを睨む。
「巫山戯んな、てめえ! ファウルだろ、今の! VARさんよぉ!? と、お兄は怒っている!」
「ファウル覚悟だよ、お喋り変態兄弟! こうでもしないと、止まんないでしょ、アンタら!」
プレー続行なので、ファウル判定では無い。すると、Aは千切の方一瞬向いて、そのまま前線にパスを出した。
「……って言うか、
過去の事なんて、どうでもいいんだよ! 私にとっての千切は、チームZの千切豹馬だ!」
Aのパスは、前線にいる今村に渡り、プレーはチームZに持っていくことが出来た。
千切は、Aの言葉に驚いたような顔をするも、すぐに俯いて、いつものような表情に戻った。
「うるせぇよ、お節介。俺に構うなっつったろ……」
「……別に、千切の為に言った訳じゃないよ。千切みたいに誇れる過去なんて、私には無いけど……、私はサッカーを諦めなくなくてここに来た。人生変えるために、
今村は敵にプレスをされながらも、何とか押し切り、イガグリにパスを出す。イガグリは、インサイドでトラップし、ボールを軽く浮かせてからゴール前にパスを出す。
そんな状況の中、Aは千切に向かって話を続ける。
「千切の過去も、怪我のことも、私にはよく分からないけど、私達はストライカーだ。悔しいのも、苦しいのも、何もかも…、ゴール一撃で生まれ変われる」
ゴール前に選手達が群がる中、ジャンプ力が武器の男、久遠が飛び、ヘディングシュートが炸裂する。
飛び抜けたジャンプ力を使ったヘディングシュートは、真っ直ぐゴールに突き刺さり、鋭くゴールネットを揺らした。
そして、チームZが初の先制点を決めた。
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渡月(プロフ) - 豆腐。さん» コメントありがとうございます!!!潔世一は不憫でなんぼですから(?)好きって言っていただけて何よりです!!これからも更新頑張りますので、待っていただけたら幸いです!!豆腐。さんのために頑張ります!!(?) (2023年4月3日 18時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐。(プロフ) - 誕生日の話の最後の潔くんが不憫すぎる……本編も番外編も全部好きです!!更新楽しみにしてます!! (2023年4月2日 22時) (レス) id: 8e2b958038 (このIDを非表示/違反報告)
渡月(プロフ) - 眠いちゃんさん» またまたコメントありがとうございます!!毎回好きって言っていただいて、、、もう眠いちゃんさんが好きです!!(?)男だらけで平気なのはエゴイストだからです(((((( (2023年3月23日 21時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
渡月(プロフ) - ちーやさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて嬉しい限りです…!!!めちゃくちゃ嬉しいこと言っていただけて、本当にモチベ上がります!!かっこいいって言って貰えて本当に嬉しいです!!これからも頑張って更新するので、待っていただけると嬉しいです! (2023年3月23日 21時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
眠いちゃん - 格好いい…好き((( 男だらけな場所で平気(?)な主人公よ…… (2023年3月22日 21時) (レス) @page28 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡月 | 作成日時:2023年3月14日 20時