54話「同じ眼」 ページ17
シュートを撃つと、そこに二子がやってきて、ボールをクリアされた。
「あっ、」
外れたと思ったそのボールは、シュートコースギリギリで、我牙丸が駆け上がり、そのままゴールを決めた。
「ナイスパス、A!」
これで同点だ。シュートだったはずが、パスになってしまったが、同点にはなれた。
チームZの面々は、我牙丸のシュートに喜んでいる。雷市に至っては、我牙丸のシュートで喜んでしまったことに動揺していた。
そして、倒れ込んだ我牙丸の手を掴み、起き上がらせようとする久遠と、喜んでいる成早が言う。
「追いついた! よく反応したな、お前!」
「我牙丸すげえ!」
「もう一点だ、逆転すっぞ」
久遠の手を握り返し、我牙丸がそう言う。
チームYの面々は、体力バテをしている選手もいた。我牙丸の肉弾戦に、驚きを隠せずに、あんなの止められないと声を漏らしていた。
そして、近くに居たAに、二子が話しかける。
「追いつかれちゃいましたね。キミがいなきゃ、今のカウンターで大川くんが二点目決めて、殆ど試合を終わらせれると思ったのに……」
「……もう自由にはさせない。お前を止めて、俺達は勝つ!」
「キミって、僕と同じ眼を持ってる」
二子は大川にパスを出した時のように右手で親指と人差し指で輪を作り、そのまま目の位置に近付けた。その姿は、分厚い前髪の後ろから、見透かしているようだった。
「……でも、僕には勝てない。
ギロッと、Aな二子を睨む。
────……やってやるよ、前髪野郎。
そして迎えた、後半十五分。
ここからは成早のしたいサッカーをする時間。
成早の武器は、DFとの動きの駆け引きからの、裏への飛び出し。A達サポート役がやることは、そこへのスルーパス。
そして、ボール保持者であるAが、成早にスルーパスを出すと、チームYのディフェンスに止められてしまった。
「あ、ごめんっ…成早!」
「守れ! これ以上点は取らせんな、チームY! 負けたら終わりだぞ!」
チームYが焦り始めた様に声を上げ始める。それに対抗するようにチームZの面々も声を上げる。
「ひるむな! 押し切るぞ、チームZ!」
「いける! いけるって! 相手ビビってる!」
「攻めろ! 攻めろ!」
久遠、今村、雷市がそう声をあげると、チームZの士気も上がる。初戦の頃とは考えられないような変化だ。それ程に、勝利を求めている。
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渡月(プロフ) - 豆腐。さん» コメントありがとうございます!!!潔世一は不憫でなんぼですから(?)好きって言っていただけて何よりです!!これからも更新頑張りますので、待っていただけたら幸いです!!豆腐。さんのために頑張ります!!(?) (2023年4月3日 18時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐。(プロフ) - 誕生日の話の最後の潔くんが不憫すぎる……本編も番外編も全部好きです!!更新楽しみにしてます!! (2023年4月2日 22時) (レス) id: 8e2b958038 (このIDを非表示/違反報告)
渡月(プロフ) - 眠いちゃんさん» またまたコメントありがとうございます!!毎回好きって言っていただいて、、、もう眠いちゃんさんが好きです!!(?)男だらけで平気なのはエゴイストだからです(((((( (2023年3月23日 21時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
渡月(プロフ) - ちーやさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて嬉しい限りです…!!!めちゃくちゃ嬉しいこと言っていただけて、本当にモチベ上がります!!かっこいいって言って貰えて本当に嬉しいです!!これからも頑張って更新するので、待っていただけると嬉しいです! (2023年3月23日 21時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
眠いちゃん - 格好いい…好き((( 男だらけな場所で平気(?)な主人公よ…… (2023年3月22日 21時) (レス) @page28 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡月 | 作成日時:2023年3月14日 20時