53話「予感と直感」 ページ16
「何ボケっとしてんだ、A!
雷市に声をかけられて、ハッとして慌ててポジションにつく。
チームZボールでスタートだ。
「ゴール前人数かけろ! なんでもいいから、ゴールにねじ込め!」
「おう!」
ここで一点を取れれば、チームYと並んで1−1になる。そうすれば、あとはもう一点取るだけだ。
大川にビビっている場合じゃない。ここで攻めなければ、終わりだ。チームZに来た、初めてのチャンス。
─────……初めてのチャンス……?
(……そういう事か……!?)
「……A?」
蜂楽がボールを蹴ると、Aが走り出していくのを見て、蜂楽は声を零した。
──────この予感の正体は……!
その
(私達は、見誤っていたんだ。あの時も、あの時も、あの時もアイツは居た……!)
蜂楽がドリブルで駆け上がっていく時も、その男はいた。
大川がシュートを決める前も、その男はいた。
そして、ディフェンス陣を動かしていた時も、アイツはいたんだ。
(この予感の正体は、大川じゃない……!)
そして、前線で取り合っていたボールは、選手に渡る前に、キーパーがクリアした。チームYの面々が、キーパーを褒め称える中、チームZは強ばった表情をしている人がほとんどだった。
「だぁっ、クソ!」
「ヤバい、俺達は攻撃に人数をかけすぎている! 今大川に繋がれたら!」
(……そう、だから私は今走っているんだ。あの嫌な予感の正体は……)
─────……
二子に渡るはずだったボールを、駆け上がってきたAが奪った。二子の表情は、前髪で隠れていてよく分からない。だが、動揺している事は確かだった。
「ナイス、A!」
A達のチャンスの芽を摘んで、攻守のスイッチの役割を担い、大川に決定的なパスを供給していた。チームYの影の支配者は、二子だった。
(二子を止めれば、チームYは死ぬ。だから今、これがチャンス!)
ダッと駆け上がったAは、ゴールを狙う。サッカーゴールとフィールドを見渡せば、左角が空いていた。GKは、先程ボールをクリアしていたことで、まだ自陣に戻っていない。
──────今なら、決まる。
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渡月(プロフ) - 豆腐。さん» コメントありがとうございます!!!潔世一は不憫でなんぼですから(?)好きって言っていただけて何よりです!!これからも更新頑張りますので、待っていただけたら幸いです!!豆腐。さんのために頑張ります!!(?) (2023年4月3日 18時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐。(プロフ) - 誕生日の話の最後の潔くんが不憫すぎる……本編も番外編も全部好きです!!更新楽しみにしてます!! (2023年4月2日 22時) (レス) id: 8e2b958038 (このIDを非表示/違反報告)
渡月(プロフ) - 眠いちゃんさん» またまたコメントありがとうございます!!毎回好きって言っていただいて、、、もう眠いちゃんさんが好きです!!(?)男だらけで平気なのはエゴイストだからです(((((( (2023年3月23日 21時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
渡月(プロフ) - ちーやさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて嬉しい限りです…!!!めちゃくちゃ嬉しいこと言っていただけて、本当にモチベ上がります!!かっこいいって言って貰えて本当に嬉しいです!!これからも頑張って更新するので、待っていただけると嬉しいです! (2023年3月23日 21時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
眠いちゃん - 格好いい…好き((( 男だらけな場所で平気(?)な主人公よ…… (2023年3月22日 21時) (レス) @page28 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡月 | 作成日時:2023年3月14日 20時