勝利は私の手に 2 【潔世一 成り代わり】

51話「後半戦開始」 ページ14

大川にボールを渡してしまえば、結局二点取られてしまって、そこから巻き上げるのは更に難関だ。

そして、千切が声を上げる。


「ていうか、この作戦で大丈夫なの？ それぞれの武器が通用しなかったら、このままズルズル負けるよ？」

「自分の武器も言えねぇ奴が、何ほざいてんだ、あぁ？」

「勝つ確率上げる話をしたんだ。使えない武器で時間を無駄にするより、例えば蜂楽か國神みたいな、相手が嫌がる攻撃を徹底した方がいいんじゃないかって話」


千切の意見も、一理ある。

蜂楽のドリブルは相手も苦戦していて、三人以上でなければ止められていなかったし、國神のミドルシュートも、確実に打てる位置まで持って行って、相手を全員で徹底マークすれば得点に繋がる。

千切がそう言うと、雷市とイガグリがキレる。誰の武器が使えないって！？ とキレている雷市と、順番が回ってきていない人に不公平だと言い張るイガグリ。


「だからケンカするなって！ ここでバラバラになったら、それこそ負け確定だ！ 今から作戦を変更する方がリスキーだし、現実的に考えて上手くいかない可能性の方が高い……」


久遠がチームＺを纏めながら意見する。作戦を変えてしまえば、今までの練習が無駄になってしまう。

それはそれで、試合展開がごちゃごちゃになってしまうだろう。


「それよりも、このままそれぞれの武器で色んな攻撃を仕掛ける方が相手も対策を練りにくいのは間違いない。俺たちの攻撃は無駄じゃない。

大川のカウンターにビビらずに全員で攻め続けるんだ！ 次俺9(ナイン)作戦続行！ それが俺たちの最善手だ！」


久遠の意見に、みんなもおおっ！ と、声を張り上げて賛同する。そんな中、Aは本当に勝てるのか、と、不安でいた。


そして、後半開始。チームＹボールで試合が開始した。

前半のラスト五分は、今村の時間だった。なので、後半の初め五分も、今村の時間だ。

前半の様に、チームＹのメンバーはボールを回し続け、得点の機会を与えさせてくれない。１−０のまま勝とうとしているのだろう。


(クソっ、俺の作戦の時間なのに…。俺の武器の、スピード＆テクニックを使いたいのに……、ボールを持たせて貰えない！

こっちが踏み込んだらかわされるし、かと言って待ってたって何も始まらない……)

─────……俺にとって、サッカーと恋愛は同じ！！

今の状況を女の子で喩えるなら、そう……、高嶺の花タイプ！

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