50話「来ないパス」 ページ13
久遠の武器は、ジャンプ力。競り勝ったヘディングのパスを周りが受けて、そこから攻撃を組み立てる作戦だ。
パスを受けた國神が敵陣に上がると、又もや2対1の布陣へと切り替えられてしまい、攻撃チャンスが作りにくい。
「やりにきぃ……」
「足、止まってますよ」
國神のボールを二子がサッと奪った。そして、二子にボールが奪われたことにより、先程のように大川にパスが渡るかと思いきや、二子はそのまま大川じゃない選手にパスを出した。
1−0で勝っている以上、無理に攻める必要が無い。このまま試合が終われば、チームYの勝ち。それを狙っているのだろう。
そして、前半三十分。雷市の時間だ。
次に、前半四十分。これは、今村タイム。
だが……。
「あぁっ、もう!!」
「一本もパス来ないじゃん!」
結局チームYにボールを回され続け、パスを貰えずに二人の時間は終わりとなった。そして今は、前半終了のハーフタイム。
「巫山戯んなよ、お前ら、ボール取れよ! 俺の十分間、ずっと相手ボールだったじゃねぇか!」
「俺の五分間もだよ! 何も出来ずに終わっちゃうじゃーん!」
雷市と今村が不満をぶちまける。だがしかし、このまま行っても、だらだらとボールを回されるだけで、得点のチャンスが狙えないのも確かだ。
「んな事言ったって、ずっと相手はボール回してんだもん。無理に取りに行って、大川にパスされたらどうするんだよ!?」
「あぁ? このまま攻めなきゃ負けんだぞ、負けたら終わりって、分かってんのか、あぁ!?」
「だからって、もう一点取られたらほぼ負けだろ、考えろよ!?」
雷市と成早が口喧嘩を繰り広げる。だがしかし、どちらも勝つには必要な事で、どちらの意見も間違いとは言いきれない。
「喧嘩すんなよ。
ガッチガチに守りを固めてきてる相手を崩すのは、一流のプロの試合でも難しいって聞いたぞ……?」
イガグリは、先程の試合のフォーメーションを思い出しながらそう言う。大川のワントップ以外は、ずっと自陣を守りながらパス回しをしている。あれはあれで、高等テクニックだ。
「あぁ、大川のマークは最低でも二枚は必要だ。だとしても、後半はもっと攻めてかなきゃ、勝てないぞ?」
イガグリの先程言った言葉を付け足すように、伊右衛門が言う。
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渡月(プロフ) - 豆腐。さん» コメントありがとうございます!!!潔世一は不憫でなんぼですから(?)好きって言っていただけて何よりです!!これからも更新頑張りますので、待っていただけたら幸いです!!豆腐。さんのために頑張ります!!(?) (2023年4月3日 18時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐。(プロフ) - 誕生日の話の最後の潔くんが不憫すぎる……本編も番外編も全部好きです!!更新楽しみにしてます!! (2023年4月2日 22時) (レス) id: 8e2b958038 (このIDを非表示/違反報告)
渡月(プロフ) - 眠いちゃんさん» またまたコメントありがとうございます!!毎回好きって言っていただいて、、、もう眠いちゃんさんが好きです!!(?)男だらけで平気なのはエゴイストだからです(((((( (2023年3月23日 21時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
渡月(プロフ) - ちーやさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて嬉しい限りです…!!!めちゃくちゃ嬉しいこと言っていただけて、本当にモチベ上がります!!かっこいいって言って貰えて本当に嬉しいです!!これからも頑張って更新するので、待っていただけると嬉しいです! (2023年3月23日 21時) (レス) id: b05dbf39f9 (このIDを非表示/違反報告)
眠いちゃん - 格好いい…好き((( 男だらけな場所で平気(?)な主人公よ…… (2023年3月22日 21時) (レス) @page28 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡月 | 作成日時:2023年3月14日 20時