勝利は私の手に 2 【潔世一 成り代わり】

0-1話「帝襟アンリと叶えたい夢」 ページ1

帝襟アンリの夢は、W杯で日本代表が優勝すること。

その為に、今は青い監獄(ブルーロック)でお仕事中だ。

元々アンリはなでしこジャパンに憧れてサッカーを始めた。それから、W杯優勝を夢見ていた。

アンリは、青い監獄(ブルーロック)プロジェクトを進行している中で、気掛かりなことがあった。それは、絵心に言われた言葉と、潔Aの存在。


────『アンリちゃんの夢を叶えるのは、この女かもしれないよ』


絵心のその言葉が中々忘れられないまま、プロジェクトを進めていった。女である以上、Aに肩入れしてしまうし、それは絵心も承知でいてくれている。

アンリは、時折Aの世話をしている。それも、青い監獄(ブルーロック)にはA以外、男しか居ない為、アンリが心配してやっている事だ。

そんなことを考えながら、医務室に向かって、仕事をしていた。暫く経つと、何やら騒がしい。バタッ、とドアを開けられ、三人程度の人が現れた。


「帝襟さん！ A、倒れちゃって！」


蜂楽と千切が、Aに肩を貸しながら慌てた様子で医務室にやってきた。アンリは心配するも、ベットに寝かせ、あとは任せてと言い、二人を帰した。

どうやら、生理痛らしい。しょうがない事だ。立ち上がれずに、気持ち悪そうにしているAが口を開く。


「すいません、アンリさん。迷惑かけちゃって……。こんなんじゃ、世界一のストライカーなんて言えませんよね……、ははっ……」

「そんなことないわ。体調を整える事も、大事なこと。それに気持ち悪くなっちゃうの、私も同じだから」


Aだって、まだただの高校生だ。アンリにだって、それは分かっていた。きっと、絵心も分かっている。それでも尚、この子達に期待するのだ。

暫くたって、アンリが口を開く。


「Aさんは、なんでサッカーをやってるの？」

「……小さい頃、サッカーの試合に連れてってもらって、そこからサッカーがやりたくなったんです。

それで、ノエル・ノアに憧れて、ストライカーを目指しました。絵心さんの言葉にも痺れて、青い監獄(ここ)で、世界一になるって決めたんです」


体調が悪そうなのに、揺るぎないAの瞳に、アンリは目を見開く。

ああ、そういうことか。みんながみんな、Aに惚れ込む理由は。この強い瞳は、目を離したらきっと、どこかに行ってしまう。でも、自分もこの女について行きたくなる。




私の夢を叶えてくれるのは、この子なのかな。

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