銃口が捕える重い前髪かき分けて【伊i沢i拓i司】

十一発目 ページ13

水上side

｢ねぇ、調子悪いなら言っといた方が｣
｢体調不良じゃないから、クイズの調子は悪いみたいだけど｣

10問連続不正解、完璧にこれ調子悪いやつじゃん。いつもはあまりミスしないところでミスっちゃってる、完全にみすったことに対して焦っちゃってるし、熱くなってる。

｢１回押すのやめて、頭冷やして｣
｢うぅ､､､すいません､､､｣

『おおーっと、東大三銃士のひとり音波、今日は調子が悪いか！？』

｢うぬぬぬ､､､｣
｢ほらほら、食いつかない｣

唸るAを落ち着けさせて、鶴崎と目を合わせる。大体こんなふうになったら周りも焦り始める、特にAを尊敬していて、何より愛されている光ちゃんとかね。

｢光ちゃん、いける？｣
｢はいっ｣

でも、今日はAがミスっているところをカバー出来るほど余裕がある。これはかなり心強い。まぁ、Aもこんな知らせあったら落ち込むだろうけどな。

数時間前

｢はぁぁぁあああ！？！？｣

俺は楽屋で周りが使っていないことを知って、叫んだ。多分この1年で1番叫んだんじゃないかってくらいめっちゃ叫んだ。
理由は

｢また、留学！？！？！？｣
｢いやごめんって、ホストマザーが私を呼んでんのよ｣
｢あと、スタンフォードでしょ？｣

スタンフォードから呼び出しをくらった、悪い意味ではないが｢日本にはこんな私の教え子がいるんだぞ？スタンフォードが認めた秀才の師匠だぜ！？！？｣って自慢したいので来いとのこと。

｢まっっっじかよ､､､よりによって候補生が来る時に限って､､､｣

そう、俺が頭を抱えていると
ぽつりと、Aが言葉を吐いた。

｢そっか、1人足りないんだもんね｣


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