インターネット恐怖症2【歌い手】

恐怖症 ページ8

side.mafu

「そらるさんっ！！」


つい大声が出てしまう


僕の大声にビクッと肩を揺らすそらるさん


「…何」


あ、ちょっと不機嫌…？


「律みたいな人…ってか律見つけた！！」


「は…」


ガタッと音を鳴らして前のめりに立ち上がる


僕はスマホの画面を見せる


再生ボタンをタップすると、曲が流れ始める


「…！？」


そらるさんは目を見開く


「…律、だ」


その口は震えていて、目はうるんでいる


「この、旋さんってさ、律が前に『旋律を奏でるように、って意味なの』って言ってたやつ？」


「だよね…」


もう、僕たちの中では確定していた


これは律だ


僕たちが助けられなかった、いや、助けなかった律の声


スマホを持つ手が震えていて、目元が熱くなり視界が歪む


「ごめんね…律…」


僕がストーカー被害に遇ってた頃、いつでも匿ってくれた


過呼吸になったり、情緒不安定な僕に優しく接してくれた


恩人を見捨てた、最低な奴だ


「まふ、償おうか」


「はい」


僕たちに出来ることは…？

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