黄衣の王が拾ってきた【第五人格,Identity V】{一章}

23.レオ ページ23

ジョーカーが風呂に向かってから結構経った。


レオとハスターは、他のハンターよりも食べるスピードが遅く、いつも風呂は最後になるが、急いで食べなくて済むので、内心は嬉しいらしい。


「…レオは確か、初期ハンターだったよな。」


副食を食べながら訊いてくるハスター。


「ああ、誰でも初めから使えるハンターとしてここに居たぞ。」


レオも副食を食べながら答えた。


「初めは一人だったのか？」


どれが目なのかすらわからないフードの中を、こちらに向けながら訊いてきたハスター。


「ああ、徐々に増えてきた。」


レオは、「それがどうした？」とハスターに訊いた。


「いや、少しばかり気になっていたのだ。」


また、副食を食べ出すハスターを横目に、レオも副食を食べる。


少しすると、美智子が食堂に来て、ハスターに写真を渡していた。


「かわええとは思いまへんか？」


ハスターに渡していない方を見せてくる美智子。


レオが写真を見て、「娘には負けるがな」と言うと、美智子は、「親馬鹿やなぁ」と言ってきた。


レオが、「親馬鹿で何が悪い？」と訊くと、美智子は、「いいえ、なんにも悪くないと思います」と言ってから、食堂を出て行った。


その後は沈黙が続いた。


丁度、レオが食べ終わったタイミングで、ジョゼフが、「お風呂、上がりました」と伝え、リビングに向かって行った。


「上がったら声をかけに来る。」


レオは、そう言ってから風呂場に向かった。


バスタオル代わりになる布を取りにリビングに向かうと、ジョーカーや美智子、リッパーに白無常が、レオの椅子に座っている子を眺めていた。


雰囲気を壊さぬように、布の山からバスタオル代わりの布を引っ張り出して、風呂場に向かった。


脱衣所に着くと、服を脱ぎ、仮面を取り、包帯を取ってから、布を腰に巻いて風呂場に向かった。


シャワーの強さを弱くしながら体を洗った。


洗い終えると、レオはゆっくりと湯船に浸かった。


はぁとため息を一つ吐き、全身の力を抜いた。


何も考えず、ただぼけーっとしながら、内心は娘のエマ(リサ)のことを考えているらしい。


レオは、「今度、リサが遊びに来た時にでも、写真を撮って貰うか…」と考えた…


レオは、少し長湯をしてしまったらしく、少しふらつきながら、湯船から出て脱衣所に向かった。


体を拭き、服を着て、包帯を巻き、仮面を付けてから、脱衣所を出た。

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