…三十一 ページ31
そうして、私は皆に見送られながら祖国の城を後にした
涙が引いてきたところで、横に座っていたメイド達はすぐさま化粧直しをし始める
涙でかなり崩れてしまったのだろう
彼女達の顔は少し怒っているようにも見えた
窮屈な空気が流れる中、車は国境を越えた
そしてすぐに、私がこれからお世話になる隣国の城が見えた
祖国の城よりかは、少しだけ綺麗な城
また、当然だが街の風景も祖国とは全く違って
まるで、異世界に足を踏み入れたかのような気分に陥った
ここには、誰も私の味方はいない
結婚式には祖国の兵達も参加するとの事だが、それでも多くの人はこの国の王子の結婚というだけで、盛大に祝ってくれるのだろう
結婚式も間近に迫った今日、街全体がお祝いムードだった
「着きました」
メイドのひとりの言葉と、車が止まったという事実で、私は顔を上げる
外を見れば、沢山の人が私のことを一目見ようと集まっていた
「A様。はしたない姿を民に見せぬよう心がけてお進み下さい
この車を出たその瞬間から、貴方は王子の妃として、広く知れ渡ることとなります」
メイドのひとりに、そう忠告され、私は静かに車を降りる
そうして、沢山の人々の視線を受けながら、私は城へ続く道を歩いた
「ようこそ、我が城へ」
道の先、そこにはこの国の王と王妃、そして王子が並んで私を迎えて下さっていた
「この日をどれほど待ち望んだことでしょう
歓迎致しますわ。Aさん」
「ありがとうございます。国王陛下、王妃
私もこの日のことをずっと心待ちにしておりました」
私は笑顔を作って、言った
ここ何ヶ月間の特訓の中で、一番成長したのは作り笑顔ではないだろうか
そう思ってしまうほどに、私は自分を偽り続けてしまっていた
「立ち話もそこそこに、そろそろ中へ入りませんか。Aさん」
王子に手を取られ、私は城の中へと歩く
途中、王子の顔を見れば、こちらを見てニコリと微笑まれた
完全に、作り物
整形で作られたと思われるその端麗な顔は、私にとってはお世辞にもカッコイイとは言えなかった
そして、私が照れていると相手に思い込ませる為にすぐに顔を背ければ
王子は私の顎に手を添えて、頬にキスを落とした
酷く驚いて、振り返れば、王子が一言
「そんな照れなくてもいいだろう？どうせこれからいくらでもするんだから、ね？
可愛い可愛い僕のお嫁さん」
…私は、いつかストレスで死んでしまうのではないだろうか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 526人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「wrwrd」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイン(プロフ) - 満那乃さん» ありがとうございます！せ、先輩落ち…メンバーではないのでちょっと難しいですね（汗）ロボロは私の力量不足で書けないので、これに関しては本当に申し訳ないです…でも、エミさんとショッピくんに関しては、頑張れば書けるかもです！更新頑張りますね！！ (2018年7月14日 23時) (
レス) id: 61ce060edd (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 卯月さん» お待たせ致しました、コネシマです！流石にわかりきった展開でしたが、とても楽しんでいただけているようでなによりです。更新頑張ります！ (2018年7月10日 21時) (レス) id: 61ce060edd (このIDを非表示/違反報告)
卯月 - ぎゃああああああ！！！え？絶対シッマだよね！？え？しんどい.....展開すこ.....来ると思ってたけど、鳥肌立ったわ.......あ、いきなりすいませ〜ん。続き楽しみに待ってます！！ (2018年7月10日 21時) (レス) id: e6c3e89a34 (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - うたさん» ありがとうございます！言葉選びには結構こだわっているところもありますので、文章が綺麗と言っていただけたのはとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2018年7月8日 10時) (レス) id: 61ce060edd (このIDを非表示/違反報告)
うた(プロフ) - こんばんは、初めてコメント失礼します。前々から作品を読ませて頂いているのですが、やはりとても文章が綺麗で引き込まれます...！これからも更新楽しみにお待ちしております！！ (2018年7月7日 23時) (レス) id: 8e60c95a83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
