…二十八 ページ28
そうして、私がまず向かったのは先輩のもとであった
長年お世話になった人だ
一番最初に、お礼をしておきたかった
先輩は、それはもう驚いた顔でこちらを見た
私はそんな先輩に対し、礼儀よく一礼する
「…もう、行くのか」
「はい。長年お世話になりました」
先輩は席を立ち、こちらへと足を運ぶ
そして、目の前に立つと、顔を上げた私をいきなり抱きしめた
「へっ！？ちょっと、先輩！？」
いきなりのことに、敬語が飛ぶ
焦りに焦って、どうしようかと思うも、私が言葉を発する前に先輩は小さな声で呟くように言った
「すまなかった。お前1人に重い責任を負わせてしまった
その様子を見るに、きっと自分を殺し続けてきたんだろう
俺は、お前の上司として失格だ」
次に驚いたのは、私の方だった
いつも笑っていた先輩が、兵達の憧れだった先輩が
私のような一兵士の前で大粒の涙を流していたのだから
抱きしめる力は強くて、今の私では受け止めにくいものだったけれど、私は小さくなった先輩の背中にしっかりと腕を回した
「泣かないでください。先輩
貴方は私がいなくなっても、兵達のお手本なんです
ですから、私のことは早く忘れてください
結構、先輩の笑顔好きだったんですよ」
目の奥に熱を感じるが、私はぐっと堪えた
先輩とは、笑顔で別れたかったのだ
そうすると、私の気持ちが伝わったのか、先輩は私から離れて、涙を拭った
そして、再び見えた先輩の顔は、涙で濡れていて、少し歪んでいたけれど
しっかりと私に向けられた笑顔だった
「笑顔が好きなんて、初めて聞きたぞ」
「初めて、言いましたからね」
「別れ際にとんでもないカミングアウトだな
もっと前に言ってくれてもよかっただろ」
「恥ずかしいんですよ。こんな時がなきゃ、一生言ってませんでした」
「ああ、確かにな。お前あんまり俺のこと褒めること無かったもんなあ」
「部下から褒められて嬉しいんですか」
「褒められるのは嬉しいだろ」
涙も引いてきて、目の前で豪快に笑い出す先輩を見てため息をつく
しかし、何も変わらない先輩を見れて、私は少し微笑んだ
「ありがとうございました。先輩」
「俺からも、ありがとう
向こうでも頑張れよ」
「はい」
最後に、先輩に頭を乱雑に撫でられて、私は部屋を出た
乱雑に撫でられたことで少しボサっとしてしまった髪を梳く
あんな風に撫でられたのはいつぶりだったか
懐かしくて、零れてしまいそうな涙をこらえ、私は微笑んだ
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レイン(プロフ) - 満那乃さん» ありがとうございます！せ、先輩落ち…メンバーではないのでちょっと難しいですね（汗）ロボロは私の力量不足で書けないので、これに関しては本当に申し訳ないです…でも、エミさんとショッピくんに関しては、頑張れば書けるかもです！更新頑張りますね！！ (2018年7月14日 23時) (
レス) id: 61ce060edd (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 卯月さん» お待たせ致しました、コネシマです！流石にわかりきった展開でしたが、とても楽しんでいただけているようでなによりです。更新頑張ります！ (2018年7月10日 21時) (レス) id: 61ce060edd (このIDを非表示/違反報告)
卯月 - ぎゃああああああ！！！え？絶対シッマだよね！？え？しんどい.....展開すこ.....来ると思ってたけど、鳥肌立ったわ.......あ、いきなりすいませ〜ん。続き楽しみに待ってます！！ (2018年7月10日 21時) (レス) id: e6c3e89a34 (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - うたさん» ありがとうございます！言葉選びには結構こだわっているところもありますので、文章が綺麗と言っていただけたのはとても嬉しいです。更新頑張りますね！ (2018年7月8日 10時) (レス) id: 61ce060edd (このIDを非表示/違反報告)
うた(プロフ) - こんばんは、初めてコメント失礼します。前々から作品を読ませて頂いているのですが、やはりとても文章が綺麗で引き込まれます...！これからも更新楽しみにお待ちしております！！ (2018年7月7日 23時) (レス) id: 8e60c95a83 (このIDを非表示/違反報告)
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