【wrwrd】実況してたら新メンバーが入りました。【合作】 (ページ23)

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第17話《染谷亜生》ページ23

黒鵺、零符、采華が部屋に戻って取り残された二人の静寂の間を最初に破いたのは亜生だった。

「涼杏、ちょっと話そう」

渇いた喉を潤すために冷蔵庫から炭酸飲料を2本持って「はいこれ」と涼杏に手渡す。

このしゅわしゅわとした炭酸特有の刺激が昔は苦手で亜生は昔から飲めずにいたのだが、シェアハウスを初めてからは不思議と炭酸を飲めるようになっていた。

「…頼むから、もうちょっとリーダーとしてしっかりしてくれないか。
今回の件は涼杏が事前にメンバーに相談していれば黒鵺も新入りを受け入れる時間があったと思うし、他のメンバーも今よりは混乱しなかった」

「…ごめん、色唄さんをどうしてもグループに入れたくて」

「そういうことは普通メンバーに一旦聞いてから色唄に連絡するもんだろ、気持ちだけで先走って良いことなんて絶対に無い。
コラボ嫌いな黒鵺のことや警戒心の高い零符のことも考えたら時間をかけて慣らすのが得策だってこと、リーダーなら理解しろ」

普段やる気のなさそうなハスキーボイスからドスの効いた迫力のある声が放たれる。

優しく少し抜けたリーダーの涼杏と称すなら、亜生は誰にでも気が強い抜かりのない副リーダー的な位置。

涼杏がヘマをした時は一番に叱り、手早くフォローに回るのが亜生の役目だった。

そして今回も報告、連絡、相談を怠った涼杏をメンバーには見せない般若のような顔で叱ってから今後は気持ちだけで突っ走らないことを約束させたのだ。

「ご、ごめんなさい亜生…」

「反省したならもういいよ。
…どうしてもあの色唄さんを入れたいんだろ？俺は乗り気じゃないけど一応賛成派として居てやるから他のメンバーをここに連れて来て」

「うん、わかった！」

パタパタと涼杏が二階へ上がり、少ししてから降りてきたのは采華だけだった。

残り二人はどうしたと聞けば渋い顔をした涼杏が「もう色唄さんのことについて話すことないって…」としょぼしょぼと退散して来る。

「そ…そんなガキみたいな理由が通じるかバーーーーカ!!」

今度は亜生が部屋に篭もる二人の元へ向かうと、数分後に首根っこを掴まれて引きずられる黒鵺と米俵のように担がれる零符が姿を現す。

「離せよ亜生！俺はもう話すことねーよ！」

「言いたいことだけを述べてそれで終わったつもりか！いつまでも子供みたいなこと言ってんな!!」

騒ぐ黒鵺を亜生が半場強引に押さえつけ、涼杏が落ち着いた様子で話を切り出す。