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のんちゃんの部屋に入った。
何気に、一人暮らしの男の人の家に入れてもらうなんて照史くん以外初めてかも。なんて。
1度、大阪に連れてってもらった時に入れてもらったのだ。
｢……お腹すいてるでしょ｣
｢…………っ、｣
｢……カレー作るけど、
食べる？｣
｢……作ってくれるの？｣
｢……………まぁ。｣
｢………っ、食べたい。｣
｢……っ、、
うん笑笑｣
のんちゃん、いつの間に料理なんて作れるようになったんだね。
そんなこと思いつつ、私はソファーに腰掛けた。
部屋も綺麗だし、掃除もちゃんとされてる、
見た目とは裏腹に家具もシンプル。
当たりを見回しながら部屋中を探索していると、ふと目に入ったのは空になった煙草の箱だった。
テーブルの上にどうどうと置いてある。
抱きつかれた時も部屋の中も煙草の匂いしないかったのに、まだ吸ってたんだ。
まぁ、隠そうともしないしバレちゃ不味い訳ではないんだろうけど、なんだかドキドキしてしまう。
なぜならのんちゃんは高校生の時から吸ってたから。
煙草が嫌いな私を横目に。
ここから見えるのんちゃんの料理姿は、いつものチャラさとはかけ離れていて。
とても男前だった。
同い年なはずなのに何歳も離れて見える。
｢あ、A〜。
………テレビとか付けてええからな。｣
｢………あ、うん。｣
キッチンで野菜をすばやく切るのんちゃんが私にそう気遣いをした。
そういえば、ここ数年テレビはいつも照史くんが独占してるから余り見ることが少ない。
ドラマとか今何やってるのだろう。
｢………っ、、｣
結局私は、テレビをつけることなく、
のんちゃんがキッチンで調理をする音だけがこの部屋に響いた。
照史くん、ちゃんと夜ご飯食べてるかな。
お腹すいてないかな、
喧嘩した挙句、家出して来たのにそんなこと気にしちゃう私、自分で言うのもなんだけど優しいな。
昔から、見た目が強そうってよく言われてて、でも実は
中身は弱くてもろい部分があったから、ほっとけなかった。
そんな彼を1番に分かってあげたいって。
告白する時も、年下ながらに好きという感情と、守ってあげたいの感情が入り交じり、2人っきりになった時、思い切った勢いで告白してしまった。
『俺には何が残されてるんやろ。』
『………え？』
『……明日が見えてこん。俺の明日が。
ほんまにあるんやろかって、思ってしまうねん。』
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作者名：また。 | 作成日時：2021年9月26日 1時
