34 ページ34
『………っ、、』
『………照史くん、、』
私に初めて漏らしてくれた本音だった。
砂浜で夕日に照らされながら泣く照史くんは、少し恥ずかしそうにしていて。
『……っ、ごめんな、、笑、
年下のAにこんなこと言ってしまって。』
『…………っ、』
『なんて言ったらいいか分からへんやろ、、笑』
私の前では決して笑顔を絶やさなかった照史くんが、
この日だけは弱さを出してくれて。
そっぽ向いて泣いてるのを必死に隠す照史くんが、
愛おしかった。
『………っ、照史くん、明日はあるよ。
きっと。』
『…………っ、、』
『照史くんが明日が怖いなら、私が作る。』
『なんだって、希望を捨てちゃダメ。
希望は必ず、照史くんのそばにある。』
そんな綺麗事を並べた言葉を、照史くんは黙って聞いてくれた。
『……………っ、、』
『…………っ、』
『希望を見つけるのは、この砂浜で無くした指輪を探すよりもむずかしい』
『………っ、、』
『そんなことない！』
『………』
『私が照史くんの希望を見つける。』
『……………っ、』
『…………照史くん。
すきだよ。』
『………っ、、
はぁ？』
『………付き合ってください。』
『……………っ、、』
『………あっ、急に、、ごめん、、』
『………っ、、ふっ笑』
『…………っ、、？』
『アホ笑笑笑』
『………えっ、』
『何言ってんねん笑笑笑』
『…………っ、、ごめん、、』
『…A。
俺希望見つけたわ。』
『…………っえ？』
彼は涙を拭き取り笑顔でこういった。
『今、見つけた。
……目の前におった。』
『…………目の前、、？』
『…ありがとな。』
そう言って私の頭をガシッと掴んだ。
『………あ、照史くん目の前って』
『…俺も好きやで。A。』
『………えっ！』
真っ直ぐを向いて、彼は笑顔を見せた。
さっきの照史くんとは違く、優しくて強さのある笑顔。
私の頭をガシガシと掴んだまま海を眺めていた。
その笑顔を見て、私たちカップルになったんだと自覚できたのだ。
嬉しくて、嬉しくて、
『………照史くん好き』
彼の大きな体に思いっきり抱きついた。
そんな彼が、今じゃあんなになっていて。
のんちゃんを見てるとなんだか、昔の照史くんを見ているかのような感覚になる。
見た目は強そうだけど、どこかあどけなさを感じる純粋さ。
でも本当は大人でしっかりしてて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：また。 | 作成日時：2021年9月26日 1時
