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第十話 紐なしバンジー ページ10



私に持ちかけられた入社試験は「自 殺願望者を救う」と云う内容だった。
探偵社の屋上に現れた自 殺願望者(敦くん)の飛び降りを見事防ぐことが出来たら、私は無事探偵社員になることができる。何とも現在進行系で自 殺願望者の太宰さんが思いつきそうな事だ。


私は突然誘拐されて激おこぷんぷん丸だったが何も知らないのでフツーに助けようとした。屋上の縁に佇む彼に声をかけに行った。そのまま鉄製の柵を乗り越え、彼の隣に立つ。

「危ない」という声が国木田さんたちの方から聞こえたが無視無視。今はこの少年の未来を導かなければ。



「こんにちは自 殺志願少年君。君は何故死にたい?」

「い、生きる理由が見つからないからだ」



震えながら少年は答える。目には死と私に対する恐怖が浮かんでいた。



「ならば、"生きる理由を探すために生きなさい"」



其れにはきっと意味があるでしょう、と付け加える。
私だってこんな処で少年に死なれたら困るし夢見が悪い。その思いを載せて彼の目を見つめる。


純粋そうで、綺麗な瞳だった。


その瞳に映るのは輝かしい未来であって欲しい。それが大人からの細やかな願いだ。其れが数秒間続き、諦めたように少年が微笑んだ。



「……矢っ張り、貴女の前で死ぬのは止めます」

「そっか。其れはよかっ───ブフェッ」


私の顔に何かが打つかった。恐らく飛んできた新聞紙か何かであろう。

だが、足元が不安定だった私の体を押し出すには十分な強さだった。其の儘グラリと体が傾き、空中に身が投げ出される。少年の驚愕した表情が見えた。


あ、死ぬわコレ。


瞬間的に理解した。紐なしバンジーとは正にこの事。

取り敢えず彼氏も何にも出来てないけど良い人生だったよ。アイル・ビー・バック……少々使い方を間違った気もする。が、天にグッドサインを送りながら涙を流した。

と思ったら腰に少年の手が巻かれた。ゑ?と思った次の瞬間には跳躍してビルの屋上に戻っていた。私の頭の中にハテナが量産された。


え、エ、ゑ?????


困惑する私を見て良かったあ、と少年が肩を下ろす。



結果:ギャン泣きした。



死に直面した者の感情とは恐ろしい。うわぁぁァァんと年甲斐もなく鼻を啜りながらそれはもう号泣した。

後から与謝野さんに聞いた話だが、太宰さんがヨシヨシしながら慰めてくれたらしい。


くたばれ


その意味を込めて太宰さんの腹を殴った。


第十一話 判らない→←第九話 何方



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , オメガバース   
作品ジャンル:ファンタジー
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Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラミザラ | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2023年10月25日 23時

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